神剣 人斬り彦斎 (ハルキ文庫 は 13-2 時代小説文庫)
神剣 人斬り彦斎 (ハルキ文庫 は 13-2 時代小説文庫) / 感想・レビュー
Gotoran
幕末維新の人、河上彦斎の生涯を描いた小説。幕末の四大人斬りの一人で、他には、薩摩の田中新兵衛、中村半次郎、土佐の岡田以蔵と云う。熊本藩の下級武士の子として生まれた彦斎は、茶坊主から、同藩の宮部鼎蔵に師事して尊王攘夷派の志士として活動を始める。我流ながら剣に優れ佐久象山を暗殺、三条実美の護衛を務め、長州藩尊攘派と親しく交わり、維新後も攘夷に拘るが、明治政府の要人からは疎まれ、あげくは捕らわれて処刑されてしまう。新選組の沖田総司との立ち合いの迫力満点の描写、同郷の由依との心の交歓が微笑ましく、面白かった。
2023/07/09
誰かのプリン
倒幕当時、尊皇攘夷を信条とし多くの同士達が攘夷を捨て明治新政府に取り込められて行くなか、彦斎は信条を改めず刑場の露と消えた姿は凄いの一言。国を思う心は人一倍強かったのに違いない。 作中、新撰組の近藤局長、沖田と白刃を交わした場面がありましたが、これが史実だったら凄いな~。
2019/11/26
幸小夜
久々に、幕末~明治維新の作品に触れた。尊皇攘夷の志を盾に維新を推し進めた長州藩が、新政府を手に入れたとたんその考えを止めた時代の流れがよく見えた。これが作者、葉室先生の彦斎を通して伝えたい主題なのかと、私本人の理解でした。維新の時、日本の進む選択肢は、沢山存在した事を、歴史を学んでから何十年もたってから知る(自分の稚拙な知識に哀しくなった…)。 葉室先生、ありがとうございました。今後の歴史小説、違う視点で読ませて頂きたい、いやまず読み直さないと。
2018/10/28
鉄人28号
☆☆☆ 幕末維新の時代に、薩摩の田中新兵衛、土佐の岡田以蔵、薩摩の中村半次郎と並ぶ幕末の四大人斬りの1人である。吉田松陰や宮部鼎蔵の影響を受け、尊皇攘夷の志を持って身命を賭して王政復古のために働いた。この小説は史実に基づいた歴史小説である。当時の時代背景がよく描かれていて面白かったが、いろんな人物が出てきて、やや神経が疲れた。
2019/07/16
yazue
2016年5月に単行本は読了していたが、再読するとまた新鮮に感じた。新たに刊行された文庫は解説も葉室氏への追悼になっていたし。幕末はいろいろな人がそれぞれの考えで活躍しており、葉室氏がスポットを当て描く人物は信念を貫き魅力的。例えそれが『人斬り』と呼ばれた彦斎であっても。幕末を扱った葉室氏の小説に真木和泉の名前がよく出るのは久留米への郷土愛かな?
2018/08/04
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