菓子屋横丁月光荘 歌う家 (ハルキ文庫 ほ 5-1)
菓子屋横丁月光荘 歌う家 (ハルキ文庫 ほ 5-1) / 感想・レビュー
しんごろ
『活版印刷三日月堂』シリーズと同じ舞台の川越での新シリーズとなれば、手にして読みたくなるのは当然のなりゆきですね。そして読めば、三日月堂こそ出てこないけれども、三日月堂に出てきたお店が何件かでてきます。まだ手探りな感じで終わった感じがしますが、守人がどう成長していくか楽しみで続きが気になります。そして、珈琲がすごく飲みたくなりました。物にも魂は宿ってると信じたくなる、心を優しく包みこんでくれる作品ですね。
2018/08/19
へくとぱすかる
「三日月堂」に続いて読んだ。大学院生・遠野守人は自分がいたかった家から、出て行くほかにすべがなかった。そんな彼にだけ聞こえるのは、妖しいけれどやさしくて、なつかしささえ感じさせる声。そんな声と時を同じくして、周囲に起こる出来事も、同じようにやさしくてノスタルジーに満ちている。殺伐とした厳しい話だけが小説ではない、と気づかせてくれる。続編を読みたい。
2018/08/30
さてさて
『また声が聞こえた。かすかな声だ。声は大きくなったり小さくなったりする』。読書情報誌「ランティエ」に2018年1月、3月〜6月号に連載されたこの作品には『僕には家の声が聞こえる』という主人公の守人が川越にある『築七十年の建物』で暮らす様子が描かれていました。「菓子屋横丁月光荘」シリーズの第1巻として『家の声』に光を当てる物語の背景に描かれた川越の街の描写にとても魅せられるこの作品。人々の優しさにほっこりとするこの作品。ファンタジーな設定の物語にも関わらず、どこか懐かしい感覚にも包まれる、そんな作品でした。
2024/08/24
三代目 びあだいまおう
『活版シリーズ』に惚れてます。作者の醸し出すホンワカした優しさが好き。古い建物の声が聞こえてくる主人公、その力で何かの役に立つのかと思いきや違った。古い建物であればあるほど、代わりゆく住人の素に触れ、環境の変化も経験している。重ねた想いの深さ、それが声になる。石にも木にも神は宿ると、日本では八百万の神さま信仰がある。思いやりや謙虚さという日本人の美徳の礎。暮らしている記憶、古民家がかくれんぼのかけ声や童謡を歌ってる、思い出に浸っているんだね。活版印刷シリーズと触れる部分もあってファンにはたまらない‼️🙇
2020/01/22
しんたろー
ほしおさんの新シリーズは「川越愛」が詰まった、チョッとファンタジー要素のある人情劇。著者らしい優しさと情緒が散りばめられていて心地好いが、川越案内が多過ぎると感じるのが玉に瑕。それでも「川越へ家族と行きたいなぁ」と思わされてしまったのだから術中にハマっている?(笑)別シリーズの『銀塩写真探偵』を読んだ時も思ったが、1作目ゆえに登場人物や場所の紹介にページ数が費やされ、プロローグ的な印象なので、次作では人間ドラマが濃くなる事を期待したい。べんてんちゃんという、作品を明るくするキャラの今後も楽しみだ🎶
2018/12/13
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