【新装版】長田弘詩集 (ハルキ文庫)
【新装版】長田弘詩集 (ハルキ文庫) / 感想・レビュー
さゆ
詩というのは想像の余地を残すために言葉を省くので、よくわからないといった印象が抱かれやすい。しかし、詩は作者の伝えたいことを汲み取る以外に、読むことで自分のなかに生まれてくる言葉との出会いという楽しみかたもある。ついでに、一生に残る言葉と出逢えたら儲けものくらいの気持ちでいたい。この詩集を読んでいてそんなことを感じた。以下、印象深かった一文「遊びでほんとうに難しいのは、ただ一つだ。遊びを終わらせること。どんなにたのしくったって遊びはほんとうは、とても怖しいのだ。」
2024/06/04
ちえ
一昨年の帰省時、きくちちき表紙とあべ弘士イラストに惹かれ「ナルニア国」で購入。気が向いた時、気が向いたところを読み読了。<きょうあなたは空を見上げましたか…>から始まる「最初の質問」のzeroからnineまで10の章。言葉からいただく豊かさ。特にeightの「階段」「神島」「ルクセンブルグのコーヒー茶碗」にとても心を惹かれた。今の状況(まんえいしているところに比べればそんなに窮屈じゃない)と思っていたけど、やっぱり心は窮屈だって感じているんだと気が付かされた。必要な時に教えてくれる。やはり言葉ってすごい。
2021/05/28
ルカ
2003年に出された自選詩集の新装版。『最初の質問』から始まり、10項目に分類されている。 1つの詩を読む度に、くうを見る。普段見過ごしていることが如何に多いか。 紡がれる言葉により、見えないものを感じる。 長田弘さんの詩はやっぱり良いな。何度も読みたい一冊。
2020/05/29
Maki
春の霞がかった淡い光の中でひとつふたつ読む。そうやってこの本と共に過ごした四月。いろんなものを失くしたと思って過ごした四月。わたしの中の抑鬱ときらきらを少し、ぼやかして、ふざけてみたり子どものように振る舞ったり、年齢や性別やなんか、わたしという定義を人間であることすらぼやかして、名付けえないものに、ただ前髪を揺らす風や余所のおうちから聞こえてくる声や本に映る樹の葉の影に、なにかとしか言えないものなかにあるそれを見て感じて、少し、わたしにかえってこれた感じ。これからも、ひとつふたつずつ読む。
2021/04/26
HaruNuevo
食べ物、人生、言葉あたりがキーワードになるのだろうか。 自らの詩集から著者が自選して編集した詩集とのことだご、のっけから「最初の質問」でガーンとなる衝撃を受けた。 「言葉の死」などは、戦前、戦後から今の今まで、日本をずっと覆っている不透明な空気感を言い表したもののようにも感じる。 街を歩くとは街を物語として読むことだ、と浪漫溢れる始まり方から、いきなり交通事故にあった少女のちぎれた指の話に転換する「少女の指」は鮮烈だった。
2023/08/29
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