秋暮の五人 くらまし屋稼業 (ハルキ文庫 い 24-4 時代小説文庫)
秋暮の五人 くらまし屋稼業 (ハルキ文庫 い 24-4 時代小説文庫) / 感想・レビュー
W-G
だいぶ趣向を変えてきた四作目。ミステリー、それもかなり無茶な部類の舞台設定が、違和感なく時代小説の空気に収まっているのは著者の腕。ただ、誰が黒幕かはかなり分かりやすく、謎で興味を引っ張れたとは言い難い。しかし、口入れ屋の役回りを全面に出して、先の展開に広がりを持たせたり、炙り屋を上手く活用したり、違う部分でじゅうぶん以上にカバーしている。前作で不明だった序章の意味も早々に判明。虚の面子もさらに充実し、直接対決が楽しみ。今度は十本刀の鎌足さん。そしてラストで惣一郎と初音の対面と、続きを読まずにいられない。
2022/07/10
しんごろ
今までのくらまし屋とは展開が違う!野球でたとえるなら、投手が直球一辺倒で勝負しておきながら、最後は変化球みたいな展開。こんな展開とは、思ってもみなかったよ。今村翔吾さんの術中に見事にハマったよと思ったら、更にトドメが…。ええ、ラスト何それ~!めちゃめちゃ気になる終わり方じゃないの。うわあ、気になるわ。早く次作でないかなあ。今村さん、早く次作をだしてくれないと、こう言いたくなるよ。「あの世に晦め!」
2019/05/03
海猫
またもや切り口が予想以上に変化球。くらまし屋シリーズのフォーマットは手堅く、かといって型にはまらず。4作目にして新鮮に読める。くらまし屋七箇条が、今回特に内容に絡んでくるのも面白い。くらまし屋だけでなく、裏稼業の登場人物だらけなのでいつもより、ダークな感じがする。殺し殺されも多かったし。この上に人情と剣戟を、ちゃんと収めてくるのも楽しめた。さて今後、虚との対決も本格化しそうだし、終章の引きも気になる。これまで以上に次巻が待ち遠しい。次はタイトルに「冬」が入るのかな?
2019/04/17
しんたろー
4作目はサスペンスミステリ仕立てで「くらまし屋」の功罪を描いた佳作!と言うと大袈裟だが、練りに練った展開に今後を期待させる闇の人物たち…四三屋の父子、炙り屋、阿久多…を膨らませる絡ませ方をして、改めて筆力の高さを見せつけられた。ミステリのからくりは「英国作家有名作のあのパターンだな?」と想像がついてしまったのは残念だが、それは本質ではないから本作の価値が下がる訳ではない。冒頭には『ぼろ鳶』の弥彦が可愛い姿で登場したり、強烈な「引き」を最後に持ってきたりして、徹頭徹尾サービス精神に溢れているのが嬉しかった。
2020/01/11
修一朗
前作のコンゲーム路線から一転,今度はくらまし屋のオキテが使われてしまうミステリー仕立てだ。これが面白い!炙りや虚という敵集団だけでも十分に対立構造がややこしいのにさらにぼろ鳶とのリンクを使って田沼様時代の幕府の勢力争いまでも取り込んでいるのでまぁ入り乱れていて楽しいこと。敵方にも味方にも魅力的なキャラがいっぱいだ。雪だるま式に魅力キャラが増えていくのはぼろ鳶と同じだ。今村さんはどんどん新作をお描きになっているので急いで読んで行かないと。すぐに冬晴れの花嫁へ。
2022/04/15
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