夜がどれほど暗くても (ハルキ文庫 な 21-1)
夜がどれほど暗くても (ハルキ文庫 な 21-1) / 感想・レビュー
SJW
「週刊春潮」の副編集長の志賀はスキャンダル記事で売上を伸ばして評価されていた。しかし大学生の息子の賢輔がストーカー殺人を犯して自殺した疑いがかかり、志賀は加害者家族として罵倒され仕事も家族も悲惨さを極めた。被害者遺族の奈々美と出会い、憎しみの連鎖を止めようと努力する姿に共感した。また志賀が加害者家族としてひどい仕打ちをされる様はSNSで拡散される今ならではの現在の社会問題として提起されている。
2021/09/20
zero1
事件を追う側から取材対象に。もし週刊新潮で副編集長の息子がストーカー殺人の容疑者ならどうする?正直ガッカリな作品。完成度の高いミステリーは少ないが、本書はいかにも【やっつけ仕事】。現場の下足痕や指紋、血液など科学捜査をベースに警察は真実を導く。また大学内で容疑者の息子を知る学生たちと話し合いなどあり得ない。しかも事件の犠牲者はこの大学の講師なのに。大学はリスクを嫌う。結末もご都合で無理に纏め拍子抜け(後述)。図書館で借りて読むべき作品。本書を賞賛する読者はどれだけいる?レビューを読むのが楽しみ(皮肉)。
2022/06/06
えにくす
★★★☆☆大手出版社週刊誌副編集長の志賀は、売上第一の強引な取材を行っていた。しかし息子が恩師夫婦を殺して自殺し、被疑者死亡で送検されてから立場が一転、世間からの激しいバッシングに遭う。それでも息子の無実を信じて、真相究明に立ち上がる物語。SNSなどのネット社会が、加害者家族だけでなく被害者遺族をも苦しめている実態がヒドい。志賀と被害者遺族の娘が歩み寄り、お互いが徐々に信頼して行く過程には心が暖まる。犯人当てよりもヒューマンミステリーに、重きを置いているのが良い。ラストに救われた。三人の今後に幸あれ!
2020/12/15
のり
大手出版社の副編集長の息子がストーカー殺人をおこし自殺する。今まで取材で相手を追い込む側だったが、犯罪者の父親として追われる側に…加熱する報道に戸惑いながら自分の仕事を見つめ直す。被害者家族の一人娘(中学生)も悲しみの中にいるにもかかわらず世間から叩かれる。人の不幸に群がる心ない者達。それにしても犯罪動機が不明なら、取材能力のある父親なら真っ先に行動に移すはずが出足が遅れた感はある。
2020/12/28
ふじさん
週刊春潮の副編集長・志賀倫成の息子の健輔は、ストーカー殺人を犯して自殺した疑いがかかる。このことをきっかけに、倫成の幸福な人生は一転し、転職を強いられ、社内外から罵倒される日々に続き、精神的にも肉体的にも追い込まれていく。被害者の娘と出会い、最初は敵対し合う関係が続くが、様々な困難を乗り越えることで少しずつ心を通わせるとなっていく。被害者と加害者の両方の立場から、事件に関わった人々の辛い苦悩が描かれる。圧倒的な筆致で真実と人間愛を描いたミステリー。いつもの作風とは違う、しみじみとした味わいのある作品。
2022/09/20
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