新版 窓のある書店から (ハルキ文庫 ゆ 1-2)
新版 窓のある書店から (ハルキ文庫 ゆ 1-2) / 感想・レビュー
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【読書という行為は、書物のなかに眠っている〈知〉と〈血〉を揺り起こすことである。"(P.5)】本を読む時、苦心するのは「目を合わせる」作業。著者と読者とでは視点が全く違うから。よく「巨人の肩に乗る」というが、安易な気持ちで臨めば振り落とされる。特にこの本は、著者が作家を見つめる視線、言葉に向ける姿勢の安易なトレースを許さない▼フラットな感情では読み切れない、逃げ切れないし、 己の文学的教養の低さも突き付けられる。でも、反射的な共感よりも大事なものがある、それを探せと言われているような気がした。
2022/09/05
Cinejazz
〝 私はかねがね書店に窓がないのは、どうしてだろうかと、不思議でならなかった...近所を散歩したとき、私はついに、窓のある書店を見つけたのだ。店内には一匹の猫がいる 〟〝2018年4月、私は福島県南相馬市小高区に「フルハウス」という書店を開いた〟・・・芥川賞作家<森美里さん>の血と肉となってきた書物の世界を、縦横無尽に読み砕いた心のエッセイ集。〝 こどもの頃に私が心を許せたのは、死者たち―物語を書いて死んでいったひとたちでけだった。E.A.ポ-、小泉八雲、中原中也、そして太宰治― 〟
2023/08/14
ゆみにてぃー。
元は1996年に出版されたものを再編した本。著者柳美里さんが在日韓国人だったことに驚き。はじめは読み慣れないエッセイ感があるが途中から、「言葉」のもつ意味を本当に使いこなして本を描く難しさのようなものを感じた。近年ではご自身で南相馬市に書店を開いている。柳美里さんファンにはいい本なのでは。
2022/11/02
たっきー
1996年初出、1999年文庫化されたものを再編されたもの。骨のあるエッセイ集で、何日かかけて読んでいった。言葉に重みがある。
2021/10/29
qoop
著者が生きる上で/書く上で糧として来た書籍や作家を扱ったエッセイ集。その本を読むことで著者が人生を今に繋いで来たという重みを感じさせる内容で、本と読書に対する飢餓感のようなものが各ページに満ちていて、数多ある本に関するエッセイの類とは一線を画している。時系列で書かれている訳ではないけれど、ある意味で読書体験で綴る自伝のような読み応え。更にいうと、それが今につながって福島での書店経営になっているのかと思えば、書店主となった著者がどんな本を売るのかと興味が広がっていく。
2024/07/01
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