落日 (ハルキ文庫 み 10-3)
落日 (ハルキ文庫 み 10-3) / 感想・レビュー
さてさて
『思い出すのは、あの子の白い手』…。『裁判』と『映画』をキーワードに書き上げたというこの作品。そこには、”再生に繫がる一日の終わりもあるんじゃないかと思ってこのタイトルにしました”とおっしゃる湊さんの思いを感じるあたたかい読後感の物語が描かれていました。湊さんらしく真摯な物語の紡ぎ方に上質な読書を楽しめるこの作品。視覚的な「落日」の描き方に映像を強く意識させるこの作品。湊さんらしく細やかに張り巡らされた伏線が、結末に向かって鮮やかに回収されていく物語作りの上手さの中に、さまざまな思いが去来した作品でした。
2023/07/16
馨
色んな過去のエピソードが少しずつ少しずつ繋がっていき真実に辿り着く下りはとても巧いなと思いましたが、結末は湊かなえ作品にしては大人しい感じで終わっていきました。結局やはり沙良は関わらない方が良い人間だと思う。
2024/02/05
イアン
★★★★★☆☆☆☆☆「知る」ことに焦点を当てた湊かなえの長編。新人脚本家・千尋の元に届いた新進気鋭の映画監督・香からのオファー。それは千尋の故郷で15年前に起きた「笹塚町一家殺害事件」を掘り下げるための脚本依頼だった。なぜ香はこの事件を扱うことを望んだのか。引きこもりの兄が妹と両親を殺害したとされる事件の真相とは?やたらと脱線する言い回しと展開に冗長さを感じたが、元凶となった人物の心情変化や葛藤にはもっとページ数を割いて欲しかった。「凋落」的な意味だと思っていたタイトルが不意に結びついたラストはよかった。
2022/09/25
読書のーと
笹塚町一家殺人事件を通して、映画監督・長谷部香と脚本家・甲斐千尋(真尋)の2人の主人公が、それぞれの大切な人の死の真実に向き合っていく物語。 長谷部香は真実を追求したいタイプ、甲斐千尋(真尋)は見たいものだけを見ようとするタイプ。 本書を読んで感じたのは、真実を知る事は時に残酷な事もあるけれど、それとは反対に、残された人がその先の未来を生きようとする為の糧にもなるのだということ。 ミステリーとしては少し物足りなさを感じる面もあるが、イヤミスに定評のある湊かなえさんの作品の中では、珍しく希望の見える結末✨
2023/11/19
ピース
「笹塚町一家殺人事件」を題材に映画を撮ろうとする映画監督の長谷部香。香は台本を甲斐千尋に依頼するが…事件を調べるごとに全く明らかにされてなかった真実が明らかになっていく。最終的にどんな映画になったのか気になった。
2022/08/31
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