屋根裏のチェリー (ハルキ文庫 よ 10-4)
屋根裏のチェリー (ハルキ文庫 よ 10-4) / 感想・レビュー
KAZOO
前作「流星シネマ」に続く3部作のうちの2作目です。元オーケストラのオーボエ奏者のサユリが父親の残した家の屋根裏部屋での生活をゆったりとした感じで奏でてくれます。主人公の中のチェリーという登場人物がサユリの本音の部分なのでしょう。前作で出てきた人物や元ビオラ奏者なども出てきます。連作長編ということで前作と同様に楽しめました。
2024/11/12
NAO
持ちアパートの屋根裏に引きこもっているサユリには、他の誰にも見えない話し相手がいる。身長20cmほどの小さな女性で、サユリにあれこれと話しかけてくる。ときには、「チムチムチェリー」を口ずさむ。チェリーの声かけで、しぶしぶ腰を上げるサユリ。そのちょっとした動きが波紋を広げ、小さな偶然を生み出す。その偶然がさらなる波紋となって広がっていく。閉じた世界にいるのは、安心だ。だが、安心できる閉じた世界が楽しいかというと、決してそうではない。外の世界は、明るく広く、何より刺激に溢れ、生きていることを実感できる。
2023/12/12
あや
「流星シネマ」に続いて読了。以前に1度読んだことがあるはずなのに所々忘れていたおかげ?で新鮮に読めた。 部屋に閉じこもっていたサユリが徐々に外の世界へ踏み出していき、そして彼女が吹くオーボエの『ラ』の音をきっかけに色んな音が重なり仲間が増えていく‥。 やはりこの物語、大好きだなぁ。 次はいよいよ「鯨オーケストラ」を読みます!
2023/04/10
鯖
参加していたオーケストラが解散し、すっかり気持ちがふさぎこんで、父が遺したおんぼろアパートのわずかばかりの家賃収入を糧に、屋根裏部屋に閉じこもるオーボエ奏者のサユリちゃん。吉田さんの小説にちょいちょい出てくる適度な不労所得がうらやましい昨今。元チョコレート工場で次々に楽器が加わり、ブレーメンの音楽隊のように演奏ができあがってくところがよかった。
2023/01/02
ゆみにてぃー。
大好きな吉田篤弘さん。吉田さん作品の代表はほとんど読んでいるつもりだが、おそらく過去2番に良かった。 (1番は「月とコーヒー」だが今まで読んだ全ての本の中でも1番)「流星シネマ」の続編で、内容やセリフが繋がっているものの「流星シネマ」を読んでいなくても理解は十分可能。吉田さんの小説を読んでいつも思うのは、夜がとても美しく表現されており、まるで夜の香りがしてきそうな文章。ちょっと哲学的なところもあって、登場人物のセリフなのに、私自身にしっくりくるからか、自問自答している気分にもなる(続きます↓)
2022/11/06
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