近代の奈落
近代の奈落 / 感想・レビュー
モリータ
◆2002年刊。『部落解放』の1999~2002年の連載に加筆したもの。◆「水平社以来の部落解放運動をになってきた人間たち(注:水平社の中心的指導者や戦後の解放運動のリーダー)とその土地(福岡、奈良、京都、大阪、和歌山、長野、東京)に焦点を定めて、彼らが、また多くの部落民たちが何を考え、どう行動してきたのかを追跡」した書。◆「被差別部落の問題を考えることは日本の近代を考えることである。/部落解放運動を考えることは日本の社会運動を考えることである。」とする筆者が「追求してきたのは、彼らの精神と行動を(続く)
2021/02/08
芋煮うどん
15年ほど前に読んだはずだが、見事に忘れていた。生活者としての視線から部落問題を論じることに腐心した作。中上健二の晩年の視座に疑問を投げかけているのは同感。
2024/07/08
Jiro Fujita
「私はらヤクザもエセ同和もいるのがあたりまえ、というところから出発してこそ、かえって運動は「健全」になるとおもっている。」(本書p460「序章としての終章」より)
2015/12/30
蔵王まる
全国各地の差別部落を訪ね調査・インタビューをし、部落解放運動家の歩みを描いた作品。今もまだ根深く残る差別。
2021/08/12
乳香
被差別側に立ち、差別というものはなくならない、人の心の中まで入り込みその中の差別そのものをなくそうなどとするのはおかしい(という言い方ではなかったが)と言い切り、今ここで差別を受けて苦しんでいるひとがいるなら、その差別という行為をやめさせることこそが血の通った解放運動なのだというのがすごく印象的だった。解放運動、水平運動が始まって以来のさまざまな活動家たちの軌跡を辿る、力の漲った500ページ近い本であるにもかかわらず、軽い筆致ですらりと読めるテンポの良さが、草の根的反差別の為の筆者の活動なのかな、など。
2021/05/18
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