道化と王
道化と王 / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
醜男で色々と詰めの甘い好色家のお調子者だが解剖学と日常生活に基づく医学療法によってチャールズ二世の道化になったロバート・メリヴェルの波乱万丈記。底なしの楽天家で無計画なのに名誉や地位は人並みに欲しいというメリヴェルの人間ぶりに対し、チャールズ二世の狡い人振りが凄い。この人、市井の生まれだったらジゴロになれていたよ、絶対。でも下ネタばかりで流石に疲れた・・・。股が緩すぎるよ、メリヴェル!個人的には王よりもメリヴェルよりもスプーンを片時も話さない、いつも苦虫噛み潰したような顔のピアスが気になりました。
2016/07/22
ちょき
#熊本大地震追悼 姑息で自分のことばかり考えてる道化のメリヴェル。何の苦労もなく本能のままに生き、行動した結果としての不幸が自分に返ってくる。ほら見たことか。そんな道化になぜか惹きつけられ最後まで辛抱強く良い展開を待ちわびながら読みました。何故こんなに面白いかというとそこに人間の本質があるからだろう。本作品は1995年に映画化されている。タイトルは「恋の闇、愛の光」。外国人女性作家にしてはすごく内面の表現も豊かで情景がすっと入る。翻訳者がすばらしいのかも。
2016/04/15
星落秋風五丈原
冒頭の部分でメリヴェルは既に37歳で「これから成長しますから!」と努力が評価される年齢をとうに越えている。ロバート・メリヴェルの人生は、上ったり下りたり大忙し。いつも同じウィークポイントで下りて行く、つまりは学習していない。翻訳者はヘタレ主人公を絶賛(変なシュミだ)生き様がそのまま道化のメリヴェルに対して、王は馬鹿なのか鈍感なのかわからないながら、意外に懐の広いところもあったりして、掴みどころのないキャラクターになっていた。ううむ、やはり表紙をつとめるにふさわしいのは、道化ではなく王であったということか。
2016/03/05
minimu
イングランド、チャールズ2世の治世。医師なのに生まれながらの道化であるメリヴェルが生き生きと描かれ、三谷幸喜作品を見ているかのような、軽やかな面白みが続く前半。打って変わって後半は、彼が愛を知ったり、精神を病んだ人たちを看たり、大切な人を失ったりまた得たりと深いドラマになります。原題restorationは、「王政復古」の意味もありメリヴェル自身のrestoreの意味もあるのでしょう(だから邦題もこうなのでしょうね)。ラストシーンで、彼が収まるべきところに収まったと思います。一気に読ませる勢いのある物語!
2016/03/15
鱒子
図書館本。人間味あふれるチャーミングなダメ男が主人公。物語は主人公の転機ごとに3部で構成されています。タイトル通り道化が主人公。彼の敬愛する王とはチャールズ2世です。物語中の大事件「ロンドン大火」が1666年。そしてチャールズ2世の崩御が1685年。その後の主人公はどうなっただろうと考えると、また波瀾万丈な気がしてしょうがないのです。
2016/05/26
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