絶版本
絶版本 / 感想・レビュー
trazom
24名の錚々たる執筆者による絶版本へのオマージュ。大切な本への思いが滲み出た味わい深い文章ばかりで、心に染みる。吉岡実/冥王まさ子/丸山静/坪井洋文さんなどの名前を目にして、こんないい人の本が絶版だったんだと複雑な気持ちにもなる。絶版とは、出版社の「この本はもう作りません」という宣言だが、権利を放棄しないために、よく「品切重版未定」と詐称される。古書の流通がネット化し、書籍の電子化が進むことにより、今後、絶版は死語になるのだろうか。ならば、「絶版本」への愛惜に満ちたこんな素敵な本も、今が最後かもしれない。
2022/10/14
KAZOO
絶版本に関する本で、最初に絶版本の定義などが示されています。主に絶版本が多い専門書などを読んでいる先生方にどのような本が絶版になっているかをアンケートで依頼されたようです。やはり私はほとんど手にしたことのないような本ばかりでした。この中では「読書猿」さんが利用されている「国立国会図書館のデジタル化史料の個人送信」というのが参考になり私も利用してみたくなりました。
2022/10/20
はっせー
ないものからなにか想像する人が好きな人におすすめの本になっている!この本は24名が各々が持っている絶版本について語るものになっている。なんと言っても24名の方が豪華である!伊藤亜紗さんや鷲田清一さんなどどの人を見てもその道を研究している識者になっている。絶版本を語るということは消えかけてしまっている文化や言葉について語ることを意味する。新しい考え方とは0の部分から探すのではなくもともとあるもう考えつくされてしまった所にある可能性がある。そんなことを感じる作品であった!
2022/12/06
コットン
24人による絶版本の紹介本。その中でも『プロジェクト・ジャパン メタボリズムは語る』の紹介が面白い。「パッと開いて楽しい本で全体が分厚いスクラップブックのような作りで、テキストの横に写真が並んでいたり、手書きの図面が載っていたり。背表紙を持って逆さにしたら、ページの間から剥がれた資料がパラパラとおちてきそうな風情である」と言うのだから!!。
2023/02/24
中玉ケビン砂糖
出版界のあまり宜しくない慣習とまでは言わないけれど……。言葉自体はあるものの、版元は普通「絶版」という言葉を意識的に使わない。「在庫無重版未定」か、あるいはAmazonなどでは「現在お取扱いできない商品」と表現する。(そもそもは木版摺りにおける版木という「ブツ」なのだから)本来帰属させているはずのライツを「今後刷る予定はないので著者に返す」意思表示を事実上意味してしまうからだ。言い方は悪いが再評価の機運が高まる可能性もあるからと人質戦略を膠着させているあいだに忘れ去られ、
2023/06/14
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