聴こえない母に訊きにいく
聴こえない母に訊きにいく / 感想・レビュー
ふう
コーダ。聴こえない親をもつ聴こえる子どものこと。コーダである作者が、母と母が関わった人々を訪ね、母の歩んできた道のりについて書き綴っています。いつもにこにこと笑っていた母。家族から愛されて育ってきたと思っていたけど、話の端々から家族だからこその無自覚の差別があったことに気づきます。優生保護法により、自分は生まれていなかったかもしれないという怖ろしさにもおちいります。「あなたが聴こえる子でうれしかった。」その言葉から、笑顔のかげにあった、当事者にしかわからない差別のつらさが伝わってきます。自分の中の差別に→
2024/11/07
ナミのママ
「障害者の親なんて嫌だ」ときとして子どもは残酷だ。そして母は決まって言う「耳が聴こえないお母さんで、ごめんね」。元ヤクザの祖父、宗教にすがる祖母、ろう者の両親のもとで育った僕は耳が聴こえる。コーダの作者が母に聞いたことを軸にしたエッセイ。母の子ども時代から始まり、2人の姉へのインタビュー、母校、恩師と聞き取りは広がっていく。優生保護法の歴史、現在も続いている裁判はニュースで見聞きするのとはまた違う重さがある。障害者の人権について考えさせられる。文章力がもう少しあれば良いのにと、少し残念。
2023/06/17
Kurara
★3 ろうの両親を持つコアの作者が母について書いている。恥ずかしくて両親の障害をひた隠しにしたとあったが、まだまだ社会の差別はこういった方にもあるんだな。
2023/10/25
ケディーボーイ
codaである著者が笑顔を絶やさない母親の人生を辿る。 そこでわかった事は家族内や社会に見え隠れする善意による差別意識。 昨年読んだ幾つかの小説にも書かれていた事が当たり前だが現実に存在する。 平易な文だが投げかけられる問題は重かった。 優生保護法による被害者は子供を持つ機会を奪われただけでなく、手術の影響による健康被害や周囲から『あなたは子どもを生んではいけない人』とされたために自己否定感に苛まれもしたという。 また祖父が優生保護法に関わっていたが為に自分を「加害者」とする方の次の言葉に考えさせられた→
2024/02/04
なつ
小説じゃなかったことに驚く。だから余計に、複雑な心境。色んな状況が、色んな環境が、色んな言葉達が、色んな時代が、全く他人事じゃないから。私の父は耳が聴こえない父(補聴器をつけたら微かに聴こえる)と目が見えない母(眼鏡をかけたら輪郭がぼんやり分かる)の元に生まれた。初めて知ったコーダ(CODA:Children of Deaf Adults、聴こえない親を持つ聴こえる子供)。祖父母の症状は幼い私にとっては当たり前のことで障がいだとは思っていなかったけど、父はコーダだったんだ。父の人生、私も訊いてみなきゃな。
2023/12/08
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