舟越桂作品集立ちつくす山 (求龍堂グラフィックス)
舟越桂作品集立ちつくす山 (求龍堂グラフィックス) / 感想・レビュー
石油監査人
この本は、2001年に出版された舟越桂の作品集です。楠を素材にして、大理石の目を嵌め込み、全体に着色を施した舟越の彫刻作品は、見る者に柔らかな印象を与えます。彫刻の人物たちの表情は、怒りや悲しみといった直接的な激しい感情から遠く離れて、ただ静かに内面に抱いた思いを微かに浮かべ、次の瞬間に言葉として発しようと待っているようにさえ見えます。舟越は「私は、山として人間を作ろうと思った。」と語っています。自分の感性は、そんな詩的なイメージを、彫刻の表情から読み取ることが出来るのか、試されているような気がしました。
2024/06/02
ybhkr
山として人を作ろうと思ったのだ。船越桂作品を表すのにこんなに適した言葉があるだろうか。さすが御本人。つい最近船越桂さんの公開制作を見てきた。ほんの20分だがすでに粘土は船越作品の塊になっていた。三沢厚彦さんとふたりで作っていたが、三沢厚彦さんの粘土は三沢作品の動物たちのぐりぐりした目が印象的だった。同じモデルでもまったく違った。船越作品は山なんだな、と腑に落ちた。デッサンや版画もべらぼうに上手い船越さんに彫刻を薦めてくださった方に感謝したくなるような。
2017/10/24
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