口紅のとき
口紅のとき / 感想・レビュー
紫 綺
資生堂が企画した展覧会用に書き下ろされた、上田義彦の写真と角田光代の小説とのコラボ本。私は女性を描く時、特に神経を使うのは眼と口である。眼は口ほどに物を言い、口は感情や色艶を表すからだ。この本は、正にその事を代弁してくれている、短編小説なのに詩のような印象的な一冊。
2012/07/29
ぶんこ
まず装丁で、これは高校時代に部活で作成した詩集の装丁とそっくりで驚きました。 著者のエッセイと思い込んでいて、途中で名前が出てきて短編集と気付きました。 幼稚園の頃、母親の口紅、コンパクト、ハイヒールに憧れたものです。 海外旅行土産でも何本か頂いたけど、似合うのは無かった事も思い出しました。 そして65歳の章では、自分の夫が亡くなったとしたらと考えて、切なかったです。 そういえば年々唇が薄くなってきたのを口紅を塗る時に気付いては淋しくなってます。 79歳、私も施設に入っているか、天国にいるか?
2015/08/29
さよちゃん
図書館本。薄くて、読むのが遅い私でもあっという間に読み切れてしまう一冊。だけど、読んでいくうちに私は、どんどんとこのストーリーに引き込まれました。女性なら、お化粧した時に何気なく口紅をつけてる事もあるかも知れないけど、こんなにもドラマチックな口紅をつけられる女性に生まれたんだからこそ、おばあちゃんになっても、お気に入りの口紅をずっといつまでも素敵につけていきたい‥と、思った。
2014/02/11
たかこ
読みたい本に登録したのは、5年ほど前。手に取るまで長い時間がかかってしまった。化粧品の中でも口紅は特別感があるのはどうしてだろう。子どもの時から口紅を塗る母を見たりして、大人の女性としての憧れみたいなものが、口紅にはあるのかな。小説のように、口紅にはストーリーがある。私の場合、いつからか人生の節目に自分でクレ・ド・ポー ボーテの口紅を買うと決めていた。けれど、ちょうどコロナ禍でマスク生活になり、口紅自体を塗らない生活になってしまった…。次の節目の時に実行したいと思う。口紅に力をもらって生きていくのもいい。
2024/11/22
mint-s
口紅にまつわる短編と写真。母が鏡台に向かって口紅をぬる姿をこわいと思っていた6歳、初めて口紅をぬった18歳などいろいろなシーンが自分の思い出と重なる。おばあちゃんになっても時々はおしゃれをして口紅もぬりたいな。
2017/10/27
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