舟越桂 私の中のスフィンクス
舟越桂 私の中のスフィンクス / 感想・レビュー
U
兵庫県美での鑑賞記録。計算しつくされたかたちは、ある種人を寄せつけない鋭さを秘めていると思うが、木彫りと穏やかな色みの表現が、その世界に親しみやすさを与えているように感じた。近寄りがたい印象は全く無し。頭や胴体をきりとった体一部分の作品からは、ない部分の想像を膨らませるのが楽しく(←サモトラケのニケをみるたびに思うことでもある)、また異形の作品からは、内のもの(感情)を外に出した「かたち」の面白さ、氏のもつ感性にどきっとした。至極自然に内外とを行き来するから段差がない。本展観で氏の作品を一層好きになった。
2015/07/26
ぐっちー
三重県立美術館にて開催中の『私の中のスフィンクス』展に行ってきました。本の表紙などで見たことはあっても、実物は初めて観る船越桂作品。どんなにシゲシゲじろじろ見つめても決して目が合わない空気のような、異形の人々。もしくは神の形。美術館では直に作品と対面し、今目の前に立つ私を透かして遠く遠くまで見はるかされるという不思議な空間を体験した。しかし不思議と冷たさや拒絶感はない。帰宅後に本書を開くと、また雰囲気が違う。こちらは凛とした姿と、神々しい魂に静かに触れるよう。小川洋子さんの文が優しい。
2016/03/02
リッツ
天童荒太作品の表紙などで知っていたけれど、改めてあらゆる角度からその作品をみると静な表情の向こうに遥かな過去の物語があるような、秘めた激しい思いがその唇から吐息とともに溢れてくるような……。ドローイングや習作、小川洋子さんの文もとてもよかった。
2015/08/23
ののまる
やっと観に行けた〜(その前日まで食中毒でダウン 笑)舟越さんの彫刻が大好きで、ずっとずっと本物を見たくて。木彫だから触って撫でて、抱きしめたくなる感じ…(いくつかは畏怖感で遠巻きに見るのみ)。でも係員のおばさま達の目が,必要以上にかなり怖い展示室。
2015/08/21
takakomama
お腹が膨らんでいる作品は山が中に入ったから、異形の不思議なポーズは目に見えているものと見えていないものの二重性がテーマだそうです。先日、地元の美術館の企画展で、「風をためて」と「ルディーの走る理由」を観ました。私とルディーの視線は合いませんでした。ルディーは見えないけど存在しているものを見ているのでしょう。小川洋子さんの寄稿もよかったです。
2021/10/24
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