巴里の空の下オムレツのにおいは流れる
巴里の空の下オムレツのにおいは流れる / 感想・レビュー
ユメ
クラフト・エヴィング商會の『おかしな本棚』で出会った本。本棚に並んだ背表紙だけを見て、素敵な題名に惹かれたのだった。『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』なんて美味しそうな、心弾む響きだろう。石井さんのことは存じ上げなかったのだが、とにかく食いしん坊な方だ。好きなことを綴ったエッセイを読むのは気持ちが良いものだと思わされる。昭和38年初版のこの本は、当時醸し出していたであろうハイカラさを今も有している。美味しい匂いが漂い、時にレシピ本さながらの文章は、鼻歌でも歌いたくなるようなリズミカルさだ。
2014/11/08
るぴん
シャンソン歌手・石井好子さんのお料理エッセイ。初版は1963年。バタ、メリケン粉、ブドー酒などの表現に時代を感じるが、今から50年以上も前の本とは思えないほど読みやすく、みずみずしい!ピザや生ハム、パエリア、ラタトゥイユなど今では手軽に食べられる料理も、当時は珍しく、憧れの料理だったんだろうなぁ。アメリカやパリに暮らし、世界中の美味しい物を紹介する石井さんの生活は、さぞハイカラに映ったことだろう。決して気取った文章じゃなく、料理の失敗談も面白おかしく書かれていて、読んでいてとても気持ちのいい本だった♫
2017/01/31
怜
初版昭和38年を思わせない、ショーの合間、終わり、仲間や家族、ひとりで過ごす時間においしい食べ物と飲み物が常にかたわらにあるしあわせ。読むと台所に立ちたくなり、食べたくなる。装丁もお洒落。持つなら文庫より単行本がいいな
2015/07/27
順子
実家にあった古い暮らしの手帳から拾い読みしたことがあったので挿し絵込みで懐かしく読んだ。掲載当時、大半の読者にとって出てくる西洋料理は想像するしかなかっただろう。どんなにワクワクしたことか。作ってみた人も多かったに違いない。世界は狭くなり何でも食べられる時代になったが、この「想像してワクワク」はちょっと減ってしまったかな。
2019/08/15
ほほほ
1963年初版のエッセイ。シャンソン歌手の石井好子さんが歌手として暮らしたパリでの生活、主に食生活を書かれたもの。50年代のパリの様子を日本語で、しかもこんなに素晴らしい文章で読めるのは嬉しい。夜の舞台を終え、木枯らしの吹く中、仕事仲間とモンマルトルのキャフェであつあつのグラティネをフウフウしながら食べる夜食、界隈で働く花屋や踊り子やナイトクラブの客で賑わう夜中の食堂…こんな描写がたまらない。発売当初から装丁もレトロな印字も変わらず今だに版を重ねている本。わたしの本棚にもずっとある大好きな本です。
2015/10/31
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