市民と武装 ―アメリカ合衆国における戦争と銃規制
市民と武装 ―アメリカ合衆国における戦争と銃規制 / 感想・レビュー
ネコ虎
デモ好きな左翼学者が市民武装権について書いた。以前アメリカで起きた日本人留学生射殺事件直後に書かれた。今は更に銃規制が問題になっているアメリカ。小熊は米ライフル協会と同様の理屈つまり憲法に保障された人民の武装権から市民の銃所有を賞賛する。武装市民の理念とは、反軍、反政府、反権力。小熊は人民の武装による革命(これを突き詰めればテロも容認)を夢見ているから、アメリカの銃暴力社会を批判できない。丸山眞男の「各世帯にせめてピストル一丁の配給を」という馬鹿げた提案に共感する。呆れたを通り越して恐ろしい学者なり。
2016/08/13
kado
前半は面白い
2012/07/10
keepfine
アメリカでは文化多元主義が普遍という理念をテコにナショナリズムに結びついていく。列挙される事例は網羅的かつ象徴的。リベラル派の政権(ウィルソン、ルーズベルト、トルーマン、ニクソン、ジョンソン)で戦争(ww1、ww2、ベトナム戦争、朝鮮戦争)が遂行され、かの大統領たちは経済福祉民族人種における公正と寛容を推し進めた。アメリカの正義=自由民主主義を世界に広げるウィルソン(国連主義)やデューイの思想(教育の可塑性)、戦争に必ずしも反対しないマイノリティ(軍におけるアメリカへの貢献を主張する黒人運動)。
2018/05/12
Francis
10年ぐらい積ん読していた本。アメリカ合衆国に関する二つの論文を収録。一つは合衆国憲法修正2条で認められた市民の武装権について。もう一つはアメリカの人種の違いを乗り越えるためにナショナリズムが唱えられたことについての考察。合衆国の建国理念を考える上で大変参考になる論文。「民主と愛国」「社会を変えるには」の著者が若い頃に書いたものだが、若いながら大変深い考察に脱帽。
2015/01/05
ねぎとろ
二つの論文が収められていて、タイトルに関係するのは前半のみ。しかし、全体としては自由、差別、ナショナリズムといった「概念」の多面性を論じているという点で一貫性があると思う。題材は両方アメリカだし。 あとがきで著者自身が述べているように、若書きという印象は受ける(綺麗に図式化されすぎているところなどは)が、だからこその議論のダイナミズムがあり面白かった。
2011/11/21
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