〈私たち〉の場所
〈私たち〉の場所 / 感想・レビュー
壱萬参仟縁
1998年初出。市民社会は自由な社会生活という自立領域(5頁)。市民社会は民主的な態度が養われ、民主的な行動が用意される自由空間(7頁)。市民社会は制度と社会的な成員資格を示す(18頁)。市民的共和主義:理念的な民主的市民社会モデルで、民主的美徳をもち、民主的生活の習慣と実践を奨励し、公共性と自由、平等主義と自発性を特徴とする(50頁~)。市場は芸術と文化に空間を提供。それらを政府指導や検閲から防禦するが、商売と取引は芸術の自律性を脅かす(152頁~)。
2016/02/21
みねたか
南北戦争前のアメリカは,市民社会が政府領域や商業分野より優勢だったという。伝統的な市民団体活動構成員の減少は選挙の投票率の低下とも相関しており,市民社会の回復は民主主義の存続に欠かせないと説く。再興の手立てとして,ショッピングモールを公共的空間にという論は面白い。確かに、人が集う場としては最適か。その他、情報技術の利用促進、生産消費のの自国化・民主化など、論旨には共感するが実効性をあげるのは難しそうだ。最後の市民社会の実現には働き方の見直しが必要という論には深く共感。
2016/05/23
葉
国家と自由市場の間で市民社会の場をどのように作り、労働とボランティアをどのように共存繁栄させるかを市民として消費者の現代社会の問題を雇用の概念から、歴史的に政治的に述べられ、グローバル化の受け入れから商品の安定性や、市民的礼節の欠如、貧困と都会の崩壊、仕事の倫理などについて書かれている。
2015/01/26
ほりほり
リバタリアンともコミュニタリアンとも一線を画した「強くしなやかな民主主義」の展望にもとづいた市民社会を築いていくための提言が詰まった濃密な一冊。私たちは消費主義と仕事中心的な価値観を乗り越えなければならない。ますます仕事に尊厳を与え、余暇を目の敵にしている昨今、このような議論をもっとやらなければいけないのだろう。しかしバーバーの構想は、労働の担い手が奴隷をオートメーションに取って代えただけのギリシャ世界のポリスと同じような気もするので、それでいいのかなとも思ったり…。
2015/06/27
Rusty
第三章あたりまでは時に退屈に感じたが、後半は一気に加速して行き、読了後は痛快な気分になった。 現代社会には不要な労働が多いと思う。経済的価値とは離れた、社会的・市民的価値の拡大は急務である。 マイケル=サンデルの引用が多いから最近の本かと思えば、原書は1998年に書かれている。もっと早く読んでおきたかったと思うが、3.11後の社会を考える上でも、正に今読むべき本である。
2011/12/17
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