ジャン=ジョゼフ・スュラン:一七世紀フランス神秘主義の光芒
ジャン=ジョゼフ・スュラン:一七世紀フランス神秘主義の光芒 / 感想・レビュー
松本直哉
小説『尼僧ヨアンナ』で描かれた「ルダンの悪魔憑き」の尼僧ジャンヌと僧スュラン。小説は悪魔がジャンヌからスュランに乗り移ったところで終っていたが、実際のスュランはその後長い暗闇のような鬱状態を経て、少しずつ言葉を取り戻し、超常の独占的な神秘体験ではなく、しがない信者とともに暗闇の中を歩む信仰のなかで、去ってしまった不在の神を待ち望み、語りえないものであるからこそ語らずにはいられない、宙づりの神秘主義に到達する。生涯にわたったジャンヌとの書簡のやり取りは、一人称ではなく二人称の、語りかける信仰を彼に可能にした
2020/07/11
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