死日記
死日記 / 感想・レビュー
さゆ
この本を読みながら、本当にぼろぼろと泣いてしまった。せつない。少年が可哀そうでやるせない。先生や小野君をはじめとする少年の周りの人たちの優しさにも涙が。読み終わった今も思い出すと泣けてくる。理不尽だ。母親に言いたい。そんなあんたのことを、こんなに愛しているこの子のことを、どうして愛せない?2千万もあれば、親子でつましく楽しく暮らせただとろう!読み終わった直後の今は、うまく思いがまとまらない。ニュースで聞かされれば、「よくある話」でくくられてしまうことなんだろうけれど、こんなにもせつないなんて。
2010/09/30
藤枝梅安
「県庁の星」で有名になった作家のデビュー作。タイトルが衝撃的。カバーは思索にふける少年の横顔。静岡県東部の中学生の1年間の日記がメイン。その間にところどころ刑事と容疑者との会話が挿入されている。容疑者・田口陽子は日記を書いた少年・潤の母親と思われる。幼児虐待、ネグレクトなどの文字が珍しくなくなってしまった現在、この「日記」には少年の眼から見た母親の姿、少年の母親への思いが痛々しいほどの純粋さで吐露されている。現実に起こる事件はこの本よりもっと悲惨でもっと複雑なのだろう。そのエッセンスをまとめるとこうなる。
2010/09/24
遅筆堂
どうしようもなくやるせない小説であるが、唯一の救いは、一時であっても友人であったり、その親であったり、アルバイト先や先生が親身になってくれていること。中学生らしい純な態度でそれを喜び受け入れてくれていること。それ以外は、もう本当にダメダメで、母親、父親、愛人、もう最悪。その対比が激しく悲しい。なんで彼を救えないのか、小説の中のことであるが悩んでしまう。できることなら生き続けてもらいたかった。母親への愛情なんて、この際、無視してと思うのだが、そこが子供の純な気持ちであって、最大のテーマ。責任果たせよ親たち。
2012/10/31
ミーナ
将来の夢は脚本家。文章を書く練習のため、日記をつけはじめた潤。ところがその日記に書かれているのは- 本の好みが傾向が似ていて、おそらく性格も似ているイケメン兄さん読友さんの感想に惹かれて。「これは、、、ノンフィクション?」と見紛う内容(あ、ノンフィクションだったらこんなにいい子じゃないか) 潤が信じられないほどいい子で、周りの人がやさしくて、それがとても悲しい。結末を予想させる刑事との面談を挟まないでほしかった。予想はついても応援したいもの。
2015/07/05
らなん
桂さん22冊目。2003年。日記形式の本は苦手だ。苦手だった筈なのに、そんなことも忘れる位、没頭してしまった。男子中学生と母親、母親のヒモの3人生活や、毎日を綴った日記。母親を心配する男子中学生の気持ちが、もどかしい。結末は、どうなるのだろうと、ダメージを受けた気持ちのまま読み進めた。桂さんのデビュー作となるこの本が、一番忘れられない本となりそうだ。
2024/02/06
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