ハダカデバネズミのひみつ
ハダカデバネズミのひみつ / 感想・レビュー
kinkin
この本はハダカデバネズミの魅力、特徴、研究の歴史や研究の最前線のことが写真やイラストとともにわかりやすく書かれている。ハダカデバネズミその学名は「変わった頭部を持つ毛のない動物」という意味だそうだ。私もこんな珍妙な動物を知ったのはそんなに古くはない。寿命は30年くらい、ガンになりにくい、低酸素状態にも強い、そして脊椎動物では唯一真社会性という女王がいて王がいて兵隊、雑用係がいるそうだ。ますます奇妙な生き物だ。アフリカの過酷な大地に住んでいるハダカネズミのたくましさよ。とにかく面白いので読んでみてね。
2020/09/03
アベシ
NHKEテレのサイエンスゼロで始めてデバを知り、その異様さに驚き、可能性に驚いてから3年が経過した。熊本大学三浦研究室通称デバ研に至るまでの長い道のりを今回知ることができた。千葉大・理研・北海道大学・慶応大学・熊本大学、研究者も岡ノ谷先生から三浦先生へ、30匹から始まり何度かの危機を経て今では600匹まで繁殖することができた。自然には、まだまだ未知のことがあり、知るべきことは五万とある。できれば上野動物園の彼らを見にいきたいものだ。長寿、ガンの克服、ips細胞etcその能力に興味は尽きない。
2021/01/05
ホークス
2020年刊。ルックスを含め、へぇーの連続だった。哺乳類では数少ない真社会性動物。ハチやアリの様に、群れは一匹の生殖メス(女王)、1〜3匹の生殖オス(王)、数十匹の兵と雑用係から成る。30年も生き、がん化耐性と低酸素耐性を持ち、医療への応用が期待される。生き様も面白い。地中で芋などを食べているが、女王は巣穴を見回り、サボっている個体は威嚇して働かせる。天敵の蛇が来ると、兵(普段は休んでる)が自ら捕食され、その間に皆で通路を埋めてしまう。中には新天地を求め出ていく個体もいる。生物の多様化能力ってすごい。
2024/05/14
いちろく
ハダカデバネズミの存在を知ったのは某小説の中で登場して。後日、都内のイベントで実物を目の当たりにして驚いたことを覚えている。そんなハダカデバネズミ、寿命は30歳を超える長寿であり、鳴き声による意思伝達を行い、脊椎動物の中でも完全な真社会性を確立しており、極めて特殊な種であることから研究の対象になっていると知る。単なるキモ可愛いと呼ばれるだけの存在ではないのだ。本書は、そんな研究報告を分かりやすく紹介している内容。それにしても、頂点に位置する女王のハダカデバネズミが種の中で一番ストレスが大きいのは、皮肉だ。
2022/10/08
tom
岩波科学ライブラリー の「ハダカデバネズミ」の続巻という位置づけ。岩波本を読んだとき、「真社会性」というよりも女王ネズミを頂点にしたヒエラルキー社会と思ったのだけど、この本を読み、ますますそう思ってしまった。女王は身重の体をゆすりながら領地を見分、怠け者を突きまわす。ときには熾烈な権力闘争、女王が惨殺されることも。ハチやアリとはずいぶん違う。こんな世界に生きてる彼らは、空気がなくてもずいぶんな時間窒息しない。ガンにもならない。とことん長命。地球に小惑星がぶつかった後生き延びるのは彼らかも。
2024/07/20
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