江戸の残映: 綺堂怪奇随筆選
江戸の残映: 綺堂怪奇随筆選 / 感想・レビュー
qoop
数ある岡本綺堂の随筆の中から怪奇な事象を扱った作品を選った一冊。江戸を慕う明治東京人の衒学的な怪奇趣味が横溢する中、関東大震災の被災体験を書いた数編を含むため、怪奇というより恐怖に材をとった作品という方が適しているかも。江戸人にとっての恐怖というと火事や地震だろうし、暗闇への忌避感もそうした居場所を失う怖さによりブーストされるのかも知れないな、とふと。
2022/11/09
竜王五代の人
「怪奇随筆」とタイトルにはあるが、普通の思い出話(思い出草)や人形趣味の話、関東大震災の記憶や小説っぽい語り口のものも含まれた割と雑多な小品集。穏やかで品がある語り口が良い。面白かったのは、二本足で立って歩くネコを見かけた話、綺堂本人も動物学的に見れば特段おかしいことじゃないかもと述べているのがまたユーモラス。あいつら、バランス感覚も体のバネも利いているし、その気になれば二本足で立つぐらいきっとやる。
2023/05/13
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