蛙の消滅 (画本 宮澤賢治)
蛙の消滅 (画本 宮澤賢治) / 感想・レビュー
モリー
解釈は人それぞれかもしれませんが、私には財産を巡る羨望や嫉妬、妬みを鳥獣戯画風に、風刺しているように感じられました。結婚相手を失った花嫁の涙は、純粋に愛を失った故か、それとも財産をもつ相手を失ったからか。人は、ひとたび財物を手に入れると、その物がどれほど他人の苦労を背負っているかすら忘れ、物に心を奪われてしまう。自分の中にもそんなブラックな部分があるからそう思えるのだろうか。『猫の事務所』を読んだときの読後感に似た、苦々しさを感じました。児童書に分類されていますが、子供はどんな感想を持つのだろうか。
2021/11/07
遠い日
賢治の画本シリーズのなかでも、ひときわ小林敏也さんの絵が美しい一冊。仲よし3匹の蛙たちのはずが、カン蛙の結婚が決まったとたんに、悋気する2匹。その嫌がらせの打ち合わせのいやらしさ。結局企んだ嫌がらせは自分たちの身にも及んだ。まさに「蛙」の消滅でありました。のんびりした語り口でばっさり悪を斬る賢治の刃は鋭い。
2017/01/29
takakomama
「蛙のゴム靴」に改稿する前の初期形を「蛙のゴム靴」と読み比べ。タイトル通り、3匹の蛙が消滅してしまいます。自慢や羨み、嫉妬、ひどい目に合わせてやりたい・・・ 誰でもブラックな気持ちを感じることはあると思います。綺麗ごとではない、救いのない話。青、緑、紫、色数が少ない、落ち着いた絵。
2022/09/13
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