レヴィナスを読む (ポリロゴス叢書)
レヴィナスを読む (ポリロゴス叢書) / 感想・レビュー
、
レヴィナス論の良書。なるべくテクストの文脈に沿うように引用し、そのテクストから言える範囲の事以外の事はそう言っていない気がする。レヴィナス思想のハイライトと言った趣がある。またレヴィナス、ひいては文献そのものへの敬意が感じられ、丁寧に読むその姿勢は大変見習いたい。とてもよい論文だと思う。180ページ程度の小ぶりさながらレヴィナスの背景と思想と広がりが無理なく把握できる。買ってもいいかな。とてもおすすめ。データベースとしても良い。入門書としてもよい。ただひとつ文句があるのでつづく。
2014/11/18
瀬希瑞 世季子
"ユダヤ民族のみの救済、イスラエルの玄義、選民、美しい教えだ。けれども、それがユダヤ人を守るための防護幕として働くのであってはならない。孤立する集団の傲慢な屈折を正当化するためのものであってはならない。そうではなく、それらの教えは、世界と同じだけ古い民が、世界とのかかわりのうちで悪戦する姿を伝えるものでなくてはならない。"(p.71) "「私」な「選ばれている」ことの根拠は、なによりも「私」が呼びかけをだれよりも早く聴き取ったという事実のうちにあり、それこそが「私」の優先性なのだ。"(p.80)
2024/06/19
感想・レビューをもっと見る