おばあちゃんのはこぶね (末盛千枝子ブックス)
おばあちゃんのはこぶね (末盛千枝子ブックス) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
M.B.ゴフスタイン作。ゴフスタインはセントポール(ミネソタ州)生まれの絵本作家。おばあちゃんが、はこぶねの思い出(といっても、はこぶねは生涯の間ずっと彼女とともにあった)を語る。とっても静かで、そしてハートウオーミングなお話。生涯の終りを間もなく迎える彼女は言う。「よろこびとかなしみは にじのよう、それがわたしをあたためてくれる おひさまのように」。この人はいろんなタッチの絵を描くようだが、今回はモノクロームの線画。いたってシンプルながら味わい深い。合言葉は「ながさは三百キュービット」。お薦め!
2024/10/17
mukimi
真夜中に目が覚めて、いろいろなことが頭を駆け巡って、眠れなくなることはないだろうか。愛してくれた祖父母と別れなければならなかったように、いつか大切な家族とも別れる日が来るということ、これからどんどん年老いて悲しみや孤独から立ち上がることができなくなる日が来るかもしれないということ。そんなことを思って、まつ毛が濡れる夜はないだろうか。そんな夜のために、枕元に置いてください。愛された記憶、愛したもの達はわたしたちの命に染み込んでいて、いつもそばにある。あなたを抱きしめてくれる。年老いても、人生を終える時にも。
2022/10/09
Willie the Wildcat
家族に受け継がれる想いと、自身が心に刻んだ思い出。育んだ父(母)と、見守ってくれた夫と子どもたち。方舟と共に半生を振り返るかのような、最後の寝室の絵に滲む穏やかさが印象的。「虹」にノアを重ね、「お日様」がキリストかと推察。(決して宗教色が前面にでることなく)愛情や感謝など、「生」への様々な思いを静かに語りかける文章。山あり谷ありの人生、大層なことがないだろうけど、自分の人生を振り返った時に、ふっと自然に微笑みがでるといいなと漠然と感じた。絵も言うまでもなく、味わい深い。
2021/05/08
はる
90歳のおばあちゃんの思い出。絵も文章もとてもシンプル。でもその少ない文章の中に、フレームに囲まれた小さな絵の中に、深いドラマを感じてしまう。よろこびとかなしみはにじのよう。素敵な言葉だ。
2021/10/19
とよぽん
しみじみして、ぬくもりに包まれた心地よい余韻にひたれる絵本だった。おばあちゃんが大切にしてきたものは、まわりの人にとっても、かけがえのない素敵なものになった。ゴフスタインさんの最期の言葉に何とも言えない優しさを感じた。絵はとてもシンプルなのに、深い。
2022/01/29
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