文豪誕生
文豪誕生 / 感想・レビュー
いちろく
紹介していただいた本。文学史に名を残す7人の文豪のデビュー作や出世作に注目したアンソロジー。学生の頃読んだ作品も多くあり懐かしかった。ただ短編の内容以上に各作家の紹介文が恋愛や不倫に偏っており、ある種の恣意的なモノも感じた。性的指向や失恋、不倫等が作品に大きく影響を与えている点では仕方がないのかもしれないけれど。それでも、とある作家が不倫相手に言った口説き文句が後世まで残っているのには、唖然とした。
2021/11/24
itokake
文豪7人のデビュー作読み比べ。芥川と太宰は出世作もあり。私には中島敦「山月記」が響いた。昔、教科書で読んだ時は不思議な話だなあと、虎に変身することに気を取られていた。今、何十年ぶりかで再読すると、虎は単なる背景に霞んでいた。久々に会った旧友との短くも温かく濃厚な時間、かつての自分と今の自分の落差についての主人公の想いに胸が熱くなった。重厚なのにスリリングな言葉使いには、才気というより鬼気を感じた。この完成度の作品がデビュー作とは…。1942年2月デビュー、その年の12月に病死、享年33歳。早すぎる。
2022/01/31
鯖
芥川龍之介、太宰治、織田作之助、坂口安吾、中島敦、江戸川乱歩、谷崎潤一郎のデビュー作アンソロ。ほぼ読んでるので、未読のおださくの雨についての感想。女に誘われたと思い込んで犯して夫婦になって嫁と赤子を残して先立って…、でも赤子もあっという間に似たような人生を送り孫ができて…という話。倣うのはそこまでにして先立つのはやめときな。たぶんハッピーエンドなんだろうなあ…。文章が短く小気味よく呼吸がよく上手いのは分かるんだけど、まあノットフォーミーなやつではあった。そもオダサク、夫婦茶碗しか読んだことないや…。
2022/05/29
ねこ
図書館のYAの棚から借りることに。芥川龍之介、太宰治、織田作之助、坂口安吾、中島敦、江戸川乱歩、谷崎潤一郎、7氏のデビュー作を中心に編まれている。芥川の「鼻」は何度読んでも面白い。太宰のデビュー作「列車」は上手い。ひとの気持ちを取り出してみせるのが上手い。中島敦の「山月記」ははっきりと記憶しているためか、なぜか再読する気になれず「文字禍」を読む。なんとまあ理知的な文章を書くひとなんだろう。そして谷崎の「刺青」。破格の面白さ。才能はもちろん、あるものを掴んでいなければこれは書けないだろうなあ。
2021/12/22
たつや
日本の文豪のデビュー作や出世作をまとめたアンソロジーと思いきや、ミニ事典もあり深掘されておる。太宰はファンの聖地多すぎて笑える。
2023/03/31
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