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完全版 マウス――アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語 (フェニックスシリーズ)

完全版 マウス――アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語 (フェニックスシリーズ)

完全版 マウス――アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語 (フェニックスシリーズ)

作家
アート・スピーゲルマン
小野耕世
出版社
パンローリング株式会社
発売日
2020-05-18
ISBN
9784775942215
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完全版 マウス――アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語 (フェニックスシリーズ) / 感想・レビュー

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まふ

アウシュヴィッツ収容所の生還者の父母を持つ作者が、父の生涯の一部始終を伝記的に描き上げたマンガ。ユダヤ人をネズミに、ドイツ人をネコに、ポーランド人をブタに仮託して描き上げている。当初はネズミの表情がしっくりこない気がしたが、読むうちに作者の想いをよりクリアに伝える効果という面で、これが正解ではなかったかと思えるようになった。数あるアウシュヴィッツ関連の物語の中で、奇跡的に生還した人の物語は貴重であり、人類の「負の教科書」として今後も大切に読み継がれていくべき作品であると思った。 G613/1000。

2024/09/15

どんぐり

アウシュヴィッツを生きのびたポーランド出身の父親の体験をもとにしたグラフィックノベル。第1部:私の父は歴史の血を流した(1930年代半ば~1944年冬)=原著1986年刊、第2部:そしてここから私の苦難は始まった(マウスヴィッツからキャッツキルズとその彼方へ)=原著1991年刊、を合わせた完全版。父親ヴラデック(1906-1982)、母親アンジャ(1912-1968)の苦難の道と、親族の多くがホロコーストの犠牲になって消えていく。→

2023/10/15

かんやん

「お前の友達だと? 友達同士を部屋にとじこめ、一週間食べ物がなかったとしたら…そしたら、友達とは何かお前にもわかるさ」アウシュヴィッツのサバイバーである父の体験を漫画化しようとする息子の葛藤。「想像するのも恐ろしく思える」この葛藤がなければ嘘だろう。平凡な日常の現在と、この世の地獄を体験した父の過去の対比が絶妙だ。迫害と虐殺が、ユダヤ人はネズミ、ポーランド人は豚、ドイツ人はネコの姿を借りて寓話風に描かれている。とてもヒトの姿では…。死なせてくれと泣き叫ぶ妻に「生きるために戦うんだ! 私にはお前が必要だ!」

2022/08/19

Miho

タイトル通り、アウシュビッツを生きのびた父のほぼ一生を描いている。その父は聖人でもないし、なんなら息子からみたら毒親?生存者を美化せずに生々しくうつしているからこそ、処刑者が無差別に選ばれたことが伝わる。悪い人だから善い人だからという選別は、この時代のユダヤ人には一切関係ない。息子からみれば、父は金にうるさいユダヤ人のカリカチュア同然で、それをありのまま読者に伝えるべきかを葛藤する場面がそのまま描かれている。でも、この父の場合は、やはり裕福さがものをいったのではと思った。

2021/12/27

チェアー

アウシュヴィッツから奇跡的に生還した父のことを、被害者として描くのではなく、一人の普通の人間の人生に起こったこととして描いているのがすごい。まんがにしている自分のことも客観視し、そもそもまんがにすべきなのか、自分に彼の苦しみを表現できるのか悩む。父も人間として完璧にはほど遠い。そんな普通の人が虐殺されていったのが、アウシュヴィッツだったのだ。

2021/07/02

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