新選組幕末の青嵐
新選組幕末の青嵐 / 感想・レビュー
いつでも母さん
何故、たった10年位の彼らの生き様にこんなに惹かれるのだろう。時代の大きな波にのまれ多くが散って逝ったからだろうか。人の夢と書いて儚いと云うが新撰組の小説を読むといつも感じてしまう。今頃の読了だが、やはり良い。とても読みやすい上に感情を揺さぶられる。各人各様の想いがあり、良し悪しでは無く、どうしても好き嫌いで受け止めてしまう(笑)が、作家次第で好きに転ずる隊士も出来る不思議。嗚呼、新撰組は確かに『青嵐』と呼ぶに相応しい。惚れない訳は無いな。
2016/02/02
nakanaka
新選組を扱った作品はいくつか読んでいますがそれらとは違った面白さがありました。土方中心の作品が多い中、この作品は章ごとに人物の主観が変わるので飽きずに読めます。作中では永倉新八と斎藤一が良い味出してます。二人の存在が新選組の中でいかに大きかったのかが分かります。作者が女性ということもあってか表現が柔らかく非常に丁寧な印象を受けました。物語の最後、佐藤彦五郎が試衛館で稽古する近藤らを回想する場面は感動的です。当然ですが新政府軍と旧幕府軍双方に物語があるわけで、私たちはそれを忘れてはならないのだと感じました。
2019/01/18
アルピニア
新選組を中心に据えているが、それ以外の人物の視点から書かれている章もあり、幕末という時代を俯瞰しているような視点を感じる。新選組の隊士は作家さんによって異なる特色が出るのが面白さのひとつだが、木内さんの描く人物像で特に興味深かったのは、沖田総司、永倉新八、そして新選組ではないが山岡鉄太郎。佐藤彦五郎による回顧が痛烈で優しく、胸が締め付けられる。「自分を賭して、納得してやってきたことが、端からの評価だけで姿を変えるはずはない」信念を持ちそれを貫ける人は、いつの世でもそれほど多くはないのかもしれない。→
2018/08/07
クリママ
武州、試衛館の百姓出身の青年達が、将軍警護の名目のもと京に上り、壬生浪士組を経て、新選組となる。芹沢鴨の暗殺、池田屋事件、禁門の変、油小路事件… 新撰組の結成前から、その内部で起こったことを、それぞれの人物を通し、その考え方や他の浪士に対する思いとともに描かれる。直線的な感じはするものの、一人の人間に対する自他の評価の違いが興味深い。時代の波にのみ込まれ、前途ある青年が若くして散っていくのは、あまりにも哀しい。まさに、青嵐。そして、ページに挟まれる、草、花、野、空の写真がその哀しみを的確に表している。
2018/02/05
☆エンジェルよじ☆
新選組を題材にした小説で新鮮だった。近藤、土方、沖田、斉藤、山南、藤堂というお馴染みの隊士は勿論佐藤彦五郎、清河八郎、伊藤甲子太郎、武田観柳斎という新選組好きにはお馴染みだがあまり取り上げられる事のなかった人達からの視線での話もありお得な気分を感じた。図書館で借りたが文庫で手元に置きたい。隣に並んでた本も読んでみたくなった。初作家さんでした。
2011/05/17
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