今日のビタミン: 短歌添え
今日のビタミン: 短歌添え / 感想・レビュー
ヴェネツィア
かつて月刊短歌誌「歌壇」に連載されていた食をめぐる、東直子さんの初エッセイ。随所に歌人らしい特徴が溢れている。その最たるものは季節を全身で感じ、それを食においても、また文章にも敏感に反映させていること。そして、もう1点は観察が実に細やかなことだ。それぞれの月ごとのエッセイの後に歌が付されているのだが、残念ながら私には、それがどうもしっくりとこない。例えば「クリームのやわらかく煮え午後となる ただなきたくてなく風を聴く」だが、この人の歌は総じて下の句で大きく転じるところに特質があるのだが、そこが分かれ目か。
2014/04/26
シナモン
図書館本。爽やかで暖かな食事が目に浮かぶようなエッセイ。ページを捲ると現れる短歌とイラストがリズム感を出していて良い感じ。「丁寧に卵をかきまぜてフライパンで慎重に焼いた薄焼き卵は、まな板の上に重ねてつかの間さます。そのときにほんのりたちのぼる湯気を、あと何度この家の中で見つめることだろうーごちゃごちゃの思いあらたに加えつつ酢の香をたててかきまわす春」適当ちらしずし、作ってみたくなりました。給食の献立表もとっておけば良かったな。
2020/04/06
❁かな❁
東直子さんの作品を読むのは4作目。今作は東さん初のエッセイと。36粒のビタミン♪食に関するエッセイと短歌の連載「今日のビタミン」に加筆訂正したものだそうです。それぞれの食べ物が素朴でとても美味しそうで、ほっこりできました(´▽`*)東さんの他の作品からも感じられましたが、お優しい飾らないお人柄がとても出ていて癒されます!東さんは同じ関西出身で広島にも住んでいたことあるそうで私とも共通点があり、親近感がわいてきました!寒い冬に暖かい部屋でアイスクリーム食べるの好きなのも同じ(笑)ほのぼのした作品で素敵♡
2015/01/31
kaizen@名古屋de朝活読書会
#東直子 #短歌 #現代女性歌人展 湯の底に蛤ひらき海にさすひかりのことをつたえてくれた スープ用うつわの中にイニシャルがもつれあいつつ春の陽のなか 内にいる安堵のなかにまわるもの縷々雨のふるふくらむバター 米櫃に指をひんやりさし入れてサヨナラ清い川にながれる 正妻は夕焼け色の湯を沸かし決意のような笑みを返した うすあかい氷水にじんわりと想っています秋刀魚のままで
2016/07/13
野のこ
東さんの文章はシンプルなのにとっても美味しそうに書くのでどの料理も美味しそうでお腹が空きます。冷蔵庫に残った食材をきざんで入れちゃってその上にたっぷりの錦糸卵「それだけで夢のように嬉しくなれる」というちらし寿司、こりゃ作らないと!そしてお気に入りは「白菜は生のまま天然塩をふりかけて前歯で細かく齧ってゆく、気分はまさに『私はうさぎ!』」面白い!あと最後の短歌添えはどれも風情を感じて素敵でした。
2017/06/09
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