武悪のひとへ: 水原紫苑歌集
武悪のひとへ: 水原紫苑歌集 / 感想・レビュー
kaizen@名古屋de朝活読書会
#水原紫苑 #短歌 #現代女性歌人展 うつしみを滝落つるなりきみあらぬこのうつしいを華厳の落つる 流氷のこゑ聴きたしと言ひけるを時知る耳など思はざる 摩周湖の霧晴れたるを思ひいづ霧隠れにしもきみ生きてまし 一目よりかくと知りけり滝の水とどまりあへず鳴る滝の水 わが名叫びくれしただひとたびよ蔵王なる山の温泉に溺れしとおもひ 夏の部屋白く波立ち波の秀のひとつひとつにきみが表情
2016/07/12
kaoru
狂言師山本則直の逝去から一年目に刊行された歌集。氏の舞台を敬愛し恋仲でもあった水原紫苑の深い思いが伝わる。武悪とは狂言の演目という。耽美的な作風の水原氏だが、哀しみのうちに比類なき言葉の世界を紡いでいる。《苦しみを見る苦しみに死なむとぞ誘ひし我を凜と拒みき》《大いなる「柿山伏」よわが肩に背負わば十字架のごとく在らむか》《見まく欲りしきみが「安宅」の強力の法螺貝の音やメメント・モリや》《みづうみの青磁いづこぞ抱かれてきみ起き上がるとはに水の辺》《きみを送る初めの老いこそくるしけれいつかこの日の恋しかるらむ》
2021/05/01
ありくし
むう。心臓が痛い。『時いまだ来たらずといふ紅葉かな恋しさゆゑに火をな放ちそ』『生きて在る罪のふかさや青ぶだう紫ぶだう夜をかがやく』
2013/01/12
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