男の貌
男の貌 / 感想・レビュー
Rie
1980年代に発表された短編。プロレス、釣り、将棋。男の“貌”とはうまいタイトル。ただちょっと妖艶さであったり凶々しさみたいなものが欲しかったかも。勝負に挑む心意気、勝負のなかで相手との通ずる部分、競技は違えど真剣のなかにはきっと深い世界があるのではないだろうか。
2016/03/29
nukowan
五篇を集めた短編集。夢枕獏は十代、二十代前半でよく読んでいた記憶がある。骨と肉の生々しさと、男の苦しさみたいなのを感じていたような気がする。歳を重ねたいま、読み返してみると、すこし胃もたれをしてしまうような感覚だった。最近書いた新しい作品はどういう感じになっているんだろうか。
2020/12/24
はじめさん
夢枕獏の初期短編から「男」をテーマにした短編集。プロレス、釣り(鮎師)将棋(風果つる街)の三本柱から二編づつ六編。おまけに餓狼伝ひとつ。っても鮎師も風果つる街も文庫持ってて目新しいのはプロレスだけだった。獏さん自身のセレクトではなく出たのが2016年2月。エベレスト便乗商法的な。/ そして「銀狐」のタイトルが「銀狼」だったりと誤植が。コピペするだけではないのかと言うか、校正してないんじゃないのか。どこが版元だ? ・・・ゴマブックス株式会社。知らんがな。(H28/154)
2016/06/07
たいぱぱ
獏さんが、80年代に発表した「男」を感じる短編のアンソロジー。格闘技はもちろん、鮎釣り、将棋までもが「男」をびしびし感じます。ここに出てくる男たちは、全て何かに打ち込みながらも哀しみを背負ってます。上手く言えないけど、面白いけどすぐ忘れてしまう短編集ではありません。
2016/10/25
生活相談屋
夢枕獏の短編小説集。この人は本当に短編小説の名手だなあ。短いセンテンスをポンポンと置いていくように物語を紡いでいく方法には、まるで長い詩を読んでいるかのような錯覚を覚える。長編の場合は、夢枕獏の人生観や世界観が深い言葉で語られることになるのだが、ここに納められた短編は、淡い哀しみの余韻を残して呆気なく終わる。今作で一番僕の心に残ったのはやはり最後の「浮熊」。将棋に人生を滅茶苦茶にされながら、それでも将棋に魅せられそこに留まり続ける人々の、何とも言えない哀愁が行間から漂ってくる。
2019/11/16
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