連環記
連環記 / 感想・レビュー
瓜坊
露伴の晩年の作品群に見られる小説なのか随筆なのかも解らない文章。連環記はその最後にして最大の仕事。稀代のエリート慶滋保胤が出家し寂心となり、大江定基が愛憎劇の果てに寂心に弟子入りし寂照となり宋で死ぬまでのストーリーに、大江匡衡、源信、赤染右衛門、周囲の縁が連環のように配置され巡ってゆく。この文を散らからずに統御できる巨人さは「富士山を造営しました」というくらい圧倒される。知識の深さを誇示するのではない。それはただのデカイ山。知識を繋げてくっきりと、でも果ては見えない山の稜線を造りあげたことが神業。
2017/02/24
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