家 (下)
家 (下) / 感想・レビュー
Ohe Hiroyuki
明治末期における地方の名家の生き様が、見事なまでに描かれた一冊。全体として灰色のトーンの内容であるが、読ませるものがある作品である▼自分の子供が病死していく様は、心をぐいと掴まれるものがある。最後は、ある一族の跡取り息子が若くして亡くなり火葬されるシーンで終わることも何ともいえない雰囲気がある。人はこうも簡単に亡くなってしまうのだと思い知らされ、日々健康に生きることの重みを知った次第である。▼明治末期の日本がどのような雰囲気であったのかを知るには大変良い一冊である。
2024/07/11
なおぱんだ
藤村とその一族をそのまま登場人物に置き換えて描いた自伝的作品です。ただ単なる家族小説ではなく、自然主義文学の最高傑作と評されているように、村の有力者として繁栄した一族が時代の流れの中で退廃していく姿を、「個人」ではなく「家」という抽象的でありながらも確固とした因縁で結ばれた人間たちを描いています。
2011/04/27
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