ゆらりうす色 (やまだ紫選集)
ゆらりうす色 (やまだ紫選集) / 感想・レビュー
ぐうぐう
男に捨てられた笑美。「怒りでも恋慕でもなく まして恨みでありもしない 絶望がーーだらしなく燃えてるんだ “ゼツボウ”というのは仕方のないもので ゆらゆらとうすく燃えて“消えないわたし”をてらしだす」次に付き合った男は妻子持ち。男を選んだ理由はひとつ。男が笑美を望んだからだ。だからといって、笑美が始終醒めているわけではない。割り切りつつも、男の家庭を想像し、複雑な心境になったり、だからこそ強がったりもする。そんな女性の心のつぶやきが、やまだ紫は絶妙にうまい。(つづく)
2018/07/16
アイアイ
ただすがる温もりが欲しくて妻子ある38歳の男と不倫する27歳の笑美。彼女の冷めた目線で語られる空しい世界。「深夜のTV観て温かいスパゲティと冷たい缶ビール飲んで呑気がいい、あいびきなぞより」女性たちが執着型じゃなくて、淡々としてる中に生身の情念が感じられる。不倫って慰謝料取られ男に逆恨まれ残るものは無い悲しいものなのに、わざわざ食いものにされる女たちが愚かしく悲しい。▽図書館
2015/07/23
ツキノ
再読。いわゆる不倫をしている女性のモノローグ的な連作集。でもね、男に依存しているわけじゃなく、しっかり自分の足で立っている。
2017/11/08
ツキノ
83年の作品と考えると、斬新。いまでも全く古さは感じない。
2010/04/04
お茶
素敵な漫画だ。不倫している女の子の恋が描かれているが、「不倫」という言葉で連想されるような激しい愛憎劇はなく、淡々とゆらりうす色な日々が淡いタッチの絵柄で描かれている。谷口ジローのリリシズムを強くした感じの静かな作品で、さり気ないようでいて洗練されたセリフは俳句や短歌の世界に通じる軽さと気韻を漂わせている。柔らかく風に吹かれている表紙の女の子のように、しっかりと背筋を伸ばして漫画界の片隅に立っている作品だと思った。なんでこんな面白い作家を知らなかったんだろう、やまだ紫をもっと読みたい
2014/07/07
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