岡本太郎の沖縄 (小学館クリエイティブビジュアル)
岡本太郎の沖縄 (小学館クリエイティブビジュアル) / 感想・レビュー
さらば火野正平・寺
岡本太郎撮影の沖縄写真集。1959年と1966年の沖縄の姿。昭和34年と41年か。返還前の沖縄の姿。味わい深い。建物にせよ何にせよ、木造のものが多く、鉄筋プラスチック新建材に満ち満ちた平成の今からすると懐かしい感じがしまくって困る。私の生前の沖縄の写真なのに懐かしい。手作り感が退治された今の世の中を思う。シャーマンの老婆の顔写真は、縦に横に刻まれた皺が素晴らしい。今はそんなに皺だらけの老人が珍しい。今後ますます減るだろう。土の匂いがして来そうな写真達。沖縄も変わった筈。岡本太郎は良い写真を遺してくれた。
2017/01/26
かおりんご
写真集。返還前の沖縄の様子がよくわかる。祝女の人たちや庶民の様子も写真に納められ、沖縄独自の文化が垣間見られる。この写真に写っている人たちは、あの戦火をかいくぐったんだと思うと、胸が痛くなった。
2017/01/02
kao
★4.5 1959年と1966年の沖縄。市場・闘牛・村人・老婆・子供たち・風景・神事…。岡本太郎は被写体を見つめながら言ったそうだ。≪いいねえ。いいじゃないか。美しいねえ。≫そして≪これこそ、オレたち自身なんだぞ、日本そのものなんだぞ≫、と。写真がモノクロであることが、一層、湧き出るパワーを大きくしている。この写真集で日本と沖縄の関係を再考させられた。政治の文脈だけで語るのではなく、民族を超えて人間存在のDNAから大きく考えなくてはと感じた。太郎の眼は凄い。
2019/10/25
そ吉
琉球警察を読んで返還前の沖縄の姿を知りたくなった。 沖縄返還が決まってから返還されるまでの沖縄の古い生活様式が残る村や島を中心にした写真集だ。 報道写真でも記録写真でもなく、沖縄の生活の匂いと汗が伝わる写真だ。 古くからの神事である竹富島の御嶽はこの間ブラタモリでもやってたが、シャーマニズムを感じる神事の写真はなんとも言えず引き込まれる。 ヤギを半殺しにして丸焼きする行儀を笑って見つめる子供たちには怖さと共にイニシエーションとしての神聖な感じを受けた。★★★☆☆
2022/03/21
なつき
3度目くらいまで、沖縄にいると息苦しかった。都会の生活の中で非日常になっている全てがまだ日常にある、あのざわざわした感じ。やっと最近、それを楽しみ流せる術が身についてきた。水の気配、緑の気配、神の気配、死の気配、すべてが混ざって一緒にある沖縄は私にとって憧れで畏怖の場所だ。それでもきっと「これこそ、オレたち自身なんだぞ、日本そのものなんだぞ」と岡本太郎が切り取った時はもっともっとそうだったろう。私なんて気配に呑まれて倒れたかもしれないなあと思う。
2016/07/08
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