怪奇三昧 英国恐怖小説の世界
怪奇三昧 英国恐怖小説の世界 / 感想・レビュー
みや
20世紀初頭に活躍した英国怪奇作家に纏わるエッセイと新訳の名篇を収録したブックガイド。あらすじだけでも伝わってくる、薫り高いゴシックの世界。静謐で冷厳で仄白くて薄ら寒い。耽美で蠱惑的な単語の数々に陶然としてしまう。日本や米国のホラーとは異なる妖しい空気感、気品漂う様式美に永遠に溺れていたくなった。レドンダ王の王位継承問題など、作家達の人生そのものも興味深い。ラヴクラフト以外は知らない初学者の私だが、豊富な紹介作品と逸話に知的興味と好奇心を刺激されながら楽しめた。荒木飛呂彦先生の表紙が最高にスタイリッシュ。
2019/08/26
hydrangea
怪奇小説の巨匠たちの紹介・ガイドブック的な内容。ブラックウッドやマッケン、メイ・シンクレア、HPLといった代表的な作家の作品や背景について興味深い内容がコンパクトに纏められています。荒木氏による表紙イラストもまた雰囲気を醸し出していて良いですね。レドンダ島のお家騒動?は、非常に人間臭い出来事で、外野から見ている分には面白い限り。当の御本人達がどこまで入れ込んでいるのかは判りませんが...。
2014/04/20
miroku
南條竹則氏の『猫城』が好きなのだが、この猫町の系譜が明らかに。ブラックウッドの『猫町』→朔太郎『猫町』→『猫城』と続くのだ。ブラックウッドっていのはスゴイねぇ。
2013/08/18
歩月るな
恐怖小説の世界。その語り口に泣ける本でもあった。マッケンについての話は本当に胸に来るものがある。これについては先に『夢の丘』を読んでおいたのは正解だった。他の作品については紹介程度なので。作家紹介っても、その時代を生きていた人々の人生、ほんとに色々ですもの。読みたい本が増える増える。しばらく私にとってとっても重要な本になりそうです。ちなみに表紙イラストは荒木センセー! 遠巻きにも誰の絵か解るから凄い。カラーも勿論良いのだけれど、カバーを外した装丁がオシャレ。私も「思いがけぬものを求めて」生きたいと思う。
2015/08/05
misui
『恐怖の黄金時代』増補改訂版。ブラックウッド、マッケン、ダンセイニとラヴクラフトなど、黄金期の巨匠とその周辺の作家を紹介する。戦慄を生み出すという意味では怪奇作家と詩人はほぼ重なるところがあり、自然と本書は文士悲惨伝の様相を帯びているが、優れたガイドによって安閑と読み進めることができる。未読既読にかかわらず作家の数奇な運命を辿るのは楽しかった。また、巻末に付された翻訳ではラヴクラフトの詩人的想像力が炸裂した「夢魔十夜」「忘却の国から」が素晴らしい。ラヴクラフトの作品で真に戦慄したのは初めてかもしれない。
2018/05/18
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