2119 9 29 (ショコラ文庫)
2119 9 29 (ショコラ文庫) / 感想・レビュー
miyu
運動の出来る元デブで38歳童貞オタクな「俺氏」阿部ちん。前作から密かに気になっていた彼がついにがっつりメインに。全編誠実で一途な阿部ちんの魅力がこれでもかというくらいにダダ漏れしている。「自分はもしやオタクフェチか?」と錯覚に陥ったほど。たぶんツンデレ高嶺も同じであっただろう。裏ドールとか人間とかそんな区別が愚かしくて馬鹿らしくなるくらいに阿部ちんは真っ直ぐで優しい。二人の選んだ生き方はごく自然の人生だった。なのに読み終わったあとの多幸に満ちた喪失感をいつまでも忘れることができない。とても素晴らしかった。
2017/10/29
りゅう☆
将来はドール美優ちゃんと結婚して幸せな家庭を築くと決めてた阿部ちんだったが、ドール事情が大きく変化。実家のレストランを継いだ阿部ちん38歳の元に製造どころか所持すら禁じられてる裏ドール高嶺を預かることになる。無愛想な高嶺。だけどドール命のアベ。預かる以上は大切に接したい。今までのマスターに酷いことしかされてなかった高嶺はそれが普通だと思ってたのでアベの優しさに戸惑う。お風呂に入ることの意義を知り、だんだん味覚を感じ食べることに興味を抱いていく。そして阿部ちんは憧れの美優との再会。そこで生じた高嶺の感情や→
2023/04/15
めめめ
阿部ちん本当いい男だったよ…。ツンデレ美人の高嶺も美優も阿部ちんのご両親も辻も皆いいキャラ。途中、アンドロイドの心についての考察がそのまま人間のそれにも思えてきて何とも息苦しい。草間さん描くチンピラシャツが本当にチンピラ柄だった。
2017/07/21
naoっぴ
ドールと呼ばれるアンドロイドの物語。機械は心を持たないと定義されているけれど、本作のドールは接するうちに心が育っていくらしい。ちょっと都合がよすぎ、なんて思うところもあったりするけれど、読み進むうちに物語に引っ張られて違和感がなくなる。なんといっても人とドールの純粋な恋のファンタジーなのだから。タイトルの意味が切ない。阿部とドール高嶺の、種と性別と超越した切ないラブストーリーだった。
2021/05/11
那義乱丸
前作でも大いに泣かされたが今作でも滂沱の涙。無愛想で懐かない裏ドール・高嶺を深く、優しく、温かく包みこんでいく阿部ちんのドール愛。それが高嶺への恋情に変化していく過程と高嶺の中に阿部ちんへの特別な想いが芽生えていく様子にぐいぐいと物語に引き込まれ、ふたりに危機が迫る後半は何度涙をこぼしたことか。ふたりのエンディングには感動の涙だった。添い遂げる幸せのあたたかさに浸り、ラストの1行でさらなる涙が溢れ…。このエンドまで読ませてもらえた私の心には、ふたりの幸せが温かな余韻となって残った。凪良作品、やっぱすごい!
2018/01/18
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