裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち (atプラス叢書 16)
裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち (atプラス叢書 16) / 感想・レビュー
ミカママ
沖縄は未踏の地であるが、夫の現役時代にはたくさんのウチナーンチュとの出会いがあり、彼女らに想いを馳せつつ読んだ。頭の中を廻るのが「貧困」と「教育機会の欠如」そして「負の連鎖」。ザッとググったところでは、返還から約50年を経た今日でも県民所得はほぼ全国最下位。ネグレクト、または暴力によって支配された家庭に育った6人の(元)少女たちの物語。地元出身だという著者の目線があたたかい。こうなる前に公共の福祉などが介入できないのか、やるせない思いと自分の非力を感じつつ本を閉じた。
2021/08/20
夜間飛行
沖縄の十代キャバ嬢に取材する著者の原点は、友人がSEXや薬で傷ついた体験だという。自ら選びながら流されていく女の子を見ていて、彼女たちを二度と見失いたくないと思い取材と援助を始めたそうだ。DV、強姦、堕胎…どの子も辛い目に遭っている。が、決して無力ではない。不安定な中で自分の生活を作り出そうと頑張っている。仕事と子育てをやり繰りし、男と距離を取ることを覚え、それでも暴力に遭えば逃げ、新しい恋人と出会う…そんな日日を送っている。ここにある会話は俗語や方言だらけで読みづらいけれど、自由と温かさそのものだった。
2020/03/08
どんぐり
家族や恋人、見知らぬ男たちの暴力から生き延びるために逃げ出し、自分の居場所をつくってきた女性6人のインタビュー。沖縄の貧困問題とともに、家族や恋人や知らない男たちから容易に暴力が発動され、少女たちを襲う。キャバクラや風俗店で夜の街を生きるシングルマザーにとって、家族は機能不全で資源にならず、DV、レイプ、望まない妊娠などの問題をひとりで引き受けるしかない。16歳で脳性麻痺の子どもをかかえ、キャバクラで仕事をしながら昼間は看護学校に通い看護師となる鈴乃の「カバンにドレスをつめこんで」。このインタビューだけで
2017/04/04
やいっち
DVなど当たり前に振るう、女性に子供を生ませて、あとは知らん顔といったろくでもない男がうんざりするほど出てくる。でも、女性達は彼等と一時的にしろ結ばれる(女性が奴等を選ぶ)。昔からなんでしょうが、一層ひどくなってるのを感じます。沖縄は特にひどいのか。政権の意向に従わない沖縄への締め付けは本土の人間には想像がつかないか。生きるためには選択の余地がない。どんな奴だろうが、声を掛けてくる、手を出す、金を出す、眼をつけてくる奴が、取り澄まして対岸を通り過ぎる奴より遥かにまし。それだけの現実がある。
2022/01/01
モルク
沖縄の夜の街で働く少女たち。年令を偽り、キャバクラで生活のため働く10代のシングルマザーたち。多くは貧困家庭、ネグレクトなど負の生い立ちを抱えた上、思いがけない妊娠に相談できる人もなく出産を迎える。さらにパートナーの暴力に耐える生活。そこから逃げ出しても待ち受ける貧困生活。読んでいて苦しい。それでもあっけらかんとして明るさを失わないように見える。でも筆者は彼女らのその強がりの下の寂しさ、辛さ、涙を見逃さず、寄り添う。つらい中でも彼女達が自分の子供を愛し慈しんでいる姿にホッとする部分もあった。
2021/11/04
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