エロマンガ表現史
エロマンガ表現史 / 感想・レビュー
きいち
いやこれはすごい!ある表現が成立する様子を現場まで追いかける本なんて貴重。◇新しい表現方法が創造されたとしても、それはあくまでその作者のその時の工夫。それが一つの表現手法として成立するには、読者の役割が大きい。同じ表現を使う人が現れ、読者がそれを受け入れて享受し、それを他の作者が使う…そうしてようやく、その表現は一つの手法として成立するからだ。小説でも映画でも音楽でも同じことは起こっているけど、その過程がこんなにはっきりしてるのは、「実用」が求められるこのジャンルならではだな。◇規制が果たす役割も大きい。
2017/12/16
うさみP
半ば性癖ばれるじゃん(笑)在るけど無い、マンガ宇宙の暗黒物質と揶揄されながら、確固たる「エロマンガ」が存在する。多方向への影響力は計り知れないが、誰も見向きもしない。まさしく影の功労者。年齢規制により物語主義のアクセントからよりコア向けのヌキに特化した流れ、デジタル・ネットの台頭、ざまざま攻勢に抗い切磋琢磨し、新たな表現方法が共通の記号となり性癖を開拓していく。乳首残像拳で天下一武道会が開けるのではないのか。残像はヌケない派。地続きの存在でありながら、様々な障害によって体系化されていないのは文化的大損失。
2017/11/08
kenitirokikuti
やっと購入。わたしは著者と年齢の近い(エロ)マンガオタクなので、引用されてるエロマンガの半分くらいは持っていた。80年代後半から00年代前半までは、印刷物のエロマンガに一部マンガ表現の先端があったのだ。でも、その先端は90年代後半からCGに移行しつつあったことも分かる。インタビューで石恵氏が乳房へのハイライトは神宮寺りおの影響だと語っていた。やはり、紙原稿でのフルカラーはランニングコストがかかり過ぎるのだなぁ(フォトショ塗りの時代からコミスタの時代へ、という変化もあるのだろうけど)。
2018/01/09
niz001
マンガにおける表現、エロマンガで多用される表現についての『大作』と言ってよいと思う。創始者(初出らしきもの)とそれを広めた立役者はきっちり分けてるのが好印象。
2018/10/08
てら
栄誉ある有害図書に指定された「研究本」。引用されている図版がわいせつだというのだろうか。しかし図版も貼らずに研究とな? 真面目に言うと、こんな(いろいろな意味で)困難をきわめるジャンルでアカデミックに掘り下げてみようという著者の意欲に敬意を表したい。たしかに食い足りない部分はあるけれど、限られた紙幅で「漫画表現」をテキストで語るのはとても難しいので、このスタイルはベターだと思う。どの切り口も良かったが、一番感心したのは「海外でのエロマンガの受容」。これこそ困難なテーマだと思うが、さらなる研究を期待します。
2018/11/09
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