掃除当番―武富健治作品集
掃除当番―武富健治作品集 / 感想・レビュー
かっぱ
「文芸漫画」というジャンルは、あまり読んだことがなかったですが、そこに展開される日常の活写が、この作家の持ち味なのだと思えます。
2013/07/27
たらこ
『鈴木先生』が生み出される前だと、見てとれる作品群。
2011/08/02
yoruyuki
久々再読。改めて読むと『鈴木先生』がどれだけこなれたかが分かるクセのきついマンガ。悲しくなるくらい大抵の現実ってヤスく収まるよねえの『シャイ子~」がぶっちぎり地獄で良かった。町田ひらくで田舎の美少女が早々に地元ヤンキーにヤられて妊娠するやつをなんとなく思い出したり。表題作の問題のない生徒が割りを食っていいのか問題は現在の自分なら「一人になった時点で自分も帰って敢えて問題を大きくして開き直る」が、リスクヘッジが想像できる大人故の判断かな、学校の強制力ってなんなんだろうな、などと思いました。
2015/12/26
ayako
『鈴木先生』の中でも非常に印象的な『掃除当番』のエピソード。その原型となった短編が収録されている。特別な事情を持たない“普通の子”が抱える苦悩を描き出し、その複雑さ、根の深さを突きつける。人からの優しさや善意すらも、それに気付くことのできる“普通の子”にとっては、時に自分を追い詰める無言の圧力となる。助けを求める声もあげず、ただ弱々しく微笑み、全てを受け入れ耐える、そういう人にそっと光を当て、優しく寄り添う作者の眼差しは、そのまま『鈴木先生』に受け継がれている。
2014/03/05
編集兼発行人
キャリア初期の短編集。出品当時は一次審査にも通らなかったという表題作における主人公の「余りにも普遍的に優等で在るが故に誰にも顧られることが無い悲劇的な崇高性」が読者の肺腑を抉らんばかりの切れ味で描かれ他の追随を許さない。読者の中に隙間風が微かな音を立てて通る黒い穴を穿つかの如き作風は全能的な幸福感とは縁遠いが幾らかの優しさを齎す可能性は有る。同様な感覚は他の作品からも窺え其の後の大傑作に繋がる要素が随所に萌芽している感。如何なる立場であれど確実に忍び込む「人生の邪魔者」に対する向き合い方を考えるヒント群。
2013/11/02
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