神聖代 (定本荒巻義雄メタSF全集 第 6巻)
神聖代 (定本荒巻義雄メタSF全集 第 6巻) / 感想・レビュー
凛
ここまで文字ではなく絵を見ていると感じる文は読んだことがなかった。山尾悠子がよく読んでいたと言っていたので手にとったが、さもありなん。
2015/05/27
ぶうたん
傑作の誉れ高い長編SF。一種のイニシエーションを描いており、特にラストシーンは永劫回帰を感じさせる感動的なものである。併録の「種子よ」は商業誌二作目とのことだが、本作の場面が散りばめられたエッセンスの固まりで、長編として昇華されているとは言え、こちらも捨てがたい。ボッスがモチーフだが、エッシャーなども出てきて、その辺も著者らしいし、あり得ない風景を文章で視覚に訴えるところもSFならではだろう。解題も処女長編との呼応を指摘していて興味深い。この叢書でも白眉の完成度を誇る必読の傑作であることを再確認した。
2015/05/28
Mark.jr
カフカの小説から取られたであろうKと名付けられた主人公が、ヒエロニムス・ボスから取られた惑星ボスを目指す。物語を支配する神話・黙示録的雰囲気や、そこかしこに散りばめられたメタファーや引用など、マニエリスムSFの名に相応しい作品です。
2021/05/30
かやは
このシリーズは「メタSF全集」なんだけど、SFとか幻想小説といったカテゴライズを拒否する、ものすごく個性的な、荒巻先生の作品としか言いようのない濃密な本でした。読後、ネットで「快楽の園」をイメージ検索して「おぉぅ」ってなってる。
2015/05/15
深海魚
主人公Kの巡礼の旅路。荒廃した地球から始まったそれは、いくつかの中継地点を経て、著者の言う“事象の地平線”を超え、やがて理想郷へ辿りつくその遍歴。観念的で思弁的で、宗教的で神話的な、一度読んだだけでは理解しきれない壮大な物語だった。一番印象的だった場面は、他に何もすることがないから果てしなく歩き続ける老人のいる惑星(の夢)。
2018/12/04
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