カストロバルバ/ゴシック (定本荒巻義雄メタSF全集 第 7巻)
カストロバルバ/ゴシック (定本荒巻義雄メタSF全集 第 7巻) / 感想・レビュー
スターライト
〈カストロバルバ〉は、エッシャーの絵画的な夢の世界を訪れた主人公が、我々の三次元ではありえない構造の世界で起きた殺人事件に挑む、夢探偵もの。建築技師の顔を持つ筆者でしか書けないような作品を、じっくり堪能できた。赤屋敷舘での最後の謎解きも、古き良き探偵小説のような味わいで満足。「プラトン通りの泥酔浴」は、改行のない作品だが、登場人物たちの哲学論議が面白く飽きさせなかった。建築のみならず、芸術にも造詣が深い著者の面目躍如たる作品集。
2015/07/02
かやは
本業が別にある作家さん……例えば銀行や官庁に勤めている人が書いた小説というと、緻密な業務の描写だとか、内部の人だからこそ書ける社会派な内容だとか、だいたいこんな作品だろうって先入観があるじゃないですか。この作品、実家が土建業で二級建築士の資格を持っていて画廊を経営するほど美術に造詣が深いSF作家(←重要)がエッシャーの作品群をモティーフにミステリを書きましたって、もうあらすじだけで先入観が入り込む余地なんてないない。それなのに、読むと「ああ荒巻先生の作品だなぁ、らしいなぁ」って思っちゃう不思議。
2015/06/14
pubkugyo
夢探偵が赴くは,エッシャーが描いた建築が実在する,奇妙な都市での事件の解決.夢の世界なので夢診断が人間関係にズバズバ当たるという豪腕が唸る.
2015/11/10
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