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羽ばたき 堀辰雄 初期ファンタジー傑作集

羽ばたき 堀辰雄 初期ファンタジー傑作集

羽ばたき 堀辰雄 初期ファンタジー傑作集

作家
堀辰雄
長山靖生
出版社
彩流社
発売日
2017-02-22
ISBN
9784779122842
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羽ばたき 堀辰雄 初期ファンタジー傑作集 / 感想・レビュー

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はる

「風立ちぬ」などとは少し異なる印象の、堀辰雄のファンタジー短編集。夢と現実が曖昧な幻想的な世界。どこか死の影もちらつく。表題作「羽ばたき」は、ふたりの少年の耽美な物語で、長野まゆみさんの作品を彷彿とさせる。ふたりの名前はキキとジジ。この物語に影響を受けた角野栄子さんは「魔女の宅急便」でこの名前を使ったのだとか。最後の「魔法のかかった丘」が可愛らしくて好み。

2022/05/15

ワッピー

堀辰雄、初読。「Ein Märchen」と訳題がついているが、日本語副題では「初期ファンタジー傑作集」となっているのにやや違和感。なんとなくメルヒェンは広義の民衆文芸のおとぎ話的ニュアンス、ファンタジーは創作的幻想小説と自分の中では区分していたためで、深い意味はありません。この時代にこのような世界を描いていた人がいるのかとビックリし、後書きで著者の状況を知って納得。堀は母、婚約者、師芥川の死、そして生活の困窮を包み込んで藤代清治の切り絵のような暗くも輝く世界を創出した。続けて堀の作品世界に進まなければ…

2019/02/01

メタボン

☆☆☆☆ 堀辰雄初期のファンタジー集。堀辰雄の新潮文庫収録作品は全て読んでいたが、この小品集は知らない作品ばかりであり、堀辰雄の知られざる作風に触れられたのと、相変わらずの「夢見がちな青年」の気分を感じられて良かった。死の予感に彩られた「羽ばたき」、天井裏の空間を独り占めするために石膏の幽霊の作り話をし、それにいつしか亡母の顔を映す「鼠」、絵画が不思議な変遷をたどり画家の自画像が浮かび上がってくる「窓」、レズ的なエロチシズムが漂う「水族館」、軽井沢の不思議な小妖精のエピソード「魔法のかかった丘」など。

2017/11/12

夏子

数年前にはまった時に粗方読んだと思っていたけれどまだまだこんなに知らない話(しかもファンタジー)があったのかと驚きました。繊細でキラキラとした世界観。本の装丁も素晴らしくて、本棚の一番目立つところに置いておきたい。

2017/03/01

渡邊利道

昭和モダニズムを眼前に彷彿させる小品集。とにかく繊細で美しい。それだけでひとつの世界を作り出し、同好の読者を魅了させるこの凝縮の力はなんだろうと疑問さえ浮かぶ。師匠とも弟子とも違うこの稚気のある美の結晶は、同時代のさまざまなイメージを引き連れつつ誰にも似ていない。

2017/04/09

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