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丘の上 豊島与志雄 メランコリー幻想集

丘の上 豊島与志雄 メランコリー幻想集

丘の上 豊島与志雄 メランコリー幻想集

作家
豊島与志雄
長山靖生
出版社
彩流社
発売日
2018-02-22
ISBN
9784779124419
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丘の上 豊島与志雄 メランコリー幻想集 / 感想・レビュー

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HANA

都会人の孤独も道ならぬ恋も象徴的な寓話も近代中国の説話も、どれもこれも白く輝くような憂愁に包まれたような話ばかり。著者といえば知る切っ掛けと同時に読んで衝撃を受けた「都会の幽気」から、大正期独特の都会人の神経衰弱的な話を書く作家かと思っていたけど。確かにそういう話も含まれていたが、後年の象徴主義を思わせる話や中国を舞台にした話、日常の奇妙な話等、この著者の全体的な流れを追える造りとなっている。あまり他の話を読んだ事がなかったので、入門的にもありがたい。でもやはり気に入ったのは、前半の神経症的な話だけど。

2018/03/22

なっく

豊島与志雄は芥川龍之介、菊池寛と親交のあった明治~昭和の作家であるが、何といっても太宰治とは特別の仲で葬儀委員長も務めたそうだ。そのような時代の作家の作品らしく、自堕落で、厭世的で、幻想的な魅力がある。戦争や病気というもののせいで死が身近だったというのもあるだろう。男女の関係も今とずいぶん違う。それに対して現代は、スマホですぐ連絡が取れる割には、直接的な言葉で相手を傷つけないように配慮しなければならない、ある意味難しい世の中になったんだな、とか思って読了。

2019/04/06

ホン

前半は自意識過剰というか度の過ぎた被害妄想者なのではと思ってしまうような人の話が連なっている、これはこれで読み応えはあるが後半にいくほどさすがに影に隠れた実力派の作家といわれるだけあって文学的価値の高そうな作品も見受けられる。副題にメランコリー幻想集とあるが全体に憂鬱そうな雰囲気が漂っている。

2018/04/30

nightowl

表紙を見て、幻想小説系統?と思いはしたもののやっぱり文学作家だけあってごつごつしている。文章にもっとしなやかさがあればとつい思ってしまう。発狂する切っ掛けは日常の一瞬に起きる「逢魔の刻」、独りでいようとしがち者にとっては自分の老後を想像するようで何とも言えなくなった、ちょっと変わったお隣さんの話「絶縁体」が印象的。「絶縁体」がOKならそのうち吉田知子も出てくるのではと期待してしまう。

2018/04/29

warimachi

ほんのりと幻想小説の味もなくはない、思った以上に晦渋で、病的な作品集。前半収録作は読んでてそれなりに気が滅入ってくるレベル。硬質な文体がなかなかに美しい。とりわけ「絶縁体」は不気味なまでに静かな迫力を持ち、川端の「豊島さんほど無欲な人はなく、終始孤独の高士であるが、そのひとりの世界では魔につかれて、なにをしているかわからぬ怪物でもある」という評がそのまま重なる短編。

2018/06/18

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