セレナード 横光利一 モダニズム幻想集
セレナード 横光利一 モダニズム幻想集 / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
「月夜」とか、女性に対して男性による「所有物」視線が露骨すぎてげんなりするものもありました。死によって際立つ哀しみとエロティズム漂う「草の中」、被害者が生活のために加害者になり、さらなる被害者を増やす虚しさとそれをたった一丁のピストルが救ってくれるという希望が清々しくも痛ましい「青い石を拾ってから」が好き。そして会話調で進む作品が多い中で自動筆記で書いたとしか思えない程、改行が少ない「機械」が収録作の中で異色な立場になっています。
2019/03/04
冬桐
上質な映画を見ているような読後。ものすっごくピアノの曲と合うと思いながら、ゆっくりと読み進めた作家さん。 これまたゲームの影響ですが、男女の掛け合いがものすごく楽しく、また男性が女性に対するイメージなど、フランス映画のような雰囲気をものすごく感じました。 特に『月夜』は、ただの掛け合いや、男女のじゃれあいに見えても、それだけがものすごく美しい映画のワンシーンのように見えて、素敵な作家さんだなと思う短編集でした。 初心者や、初めて読む作家ということなら、このシリーズはあたりだなと思う一冊でした。
2021/04/24
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