泥沼はどこだ―言葉を疑い、言葉でたたかう
泥沼はどこだ―言葉を疑い、言葉でたたかう / 感想・レビュー
寛生
【図書館】21条の言論の自由、表現の自由をこんなにも実感したのは、読書歴の中で記憶する限り、本書の右に出るものはないんじゃないかと思わされる。読み手であるこちらがいかに臆しているかー見せつけられるようだった。文学研究者と詩人が経済のことについて語らなければならないと皮肉たっぷりに笑いつつ、政治経済の虚構で固められた言葉とその世界の関連性を暴露している。我々の言語は基本的に九割亡びていると小森が指摘する。その指摘の中で、自らが無意識に使う言語の綻びをこれほど痛いほどヒシヒシと感じさせられたのも記憶に新しい。
2014/08/23
Takao
2012年2月11日発行(初版)。小森陽一さん、アーサー・ビナードさんの対談集。対談の時期は、2004年、2008〜09年、2011年。私とて、この12〜19年前の時代を無為に過ごしてきたわけではないが、権力の座にある者たちが振りまく言説に対して、「言葉を疑い、言葉でたたかう」ことをしてきたかと問われれば、胸を張る自信はない。汚染水を処理水と言い換え、マッチポンプのように、自ら危機を作り出しながら「厳しさを増す安全保障環境」などと宣う為政者たちとその追随者たち。10年前のものだが、今こそ「言葉を疑おう」。
2023/08/08
ゆれる
ためになる、という言い方はいやらしくて好きではないけれど、この本に書かれているような視点や知識をもつというのは、きっとためになると思う。 内容が良いだけにせめて半年でも早く出てればなあ、と思わざるを得ないのは言葉というよりは書籍という媒体の限界なのか。
2012/08/16
Z03
現代において言葉がどれだけ空疎に浪費され、雰囲気だけで利用されているかを、改めて問い質される良著。 なぜ?の疑問を常に問い、深く掘り下げる事はいつでも重要なのだと気付かされた。
2016/05/07
らいしょらいしょ
たぶん、何かの本を読んでた時に、この本についてチラと触れてあったんで興味を持った、はず。”言葉つかい”の魅力に大変心惹かれている私としては、サブタイも気になる。中身は…そうね、「うわぁ……;;;」と。いや知らずにいたことが多過ぎて。政治家の言葉はホントうたがってかからないといけないね。この本が出たのはちょっと前だけど、今小森さんとアーサーさんが対談したらどんな厳しい意見が聞けるだろう。池上先生よりむしろ切れ味鋭くさばいてくれそうな気がする。安倍政権の上っ面の言葉を、ぶった切って欲しい。
2015/08/06
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