不快な表現をやめさせたい!?
不快な表現をやめさせたい!? / 感想・レビュー
ロア
「人権」や「差別」という点で問題があれば法律や条例を作って表現を規制してもよい、という安易な風潮。「思想の自由市場」の健全さを維持しながら、差別の不見識を正す「社会の自己治癒力」が発揮されるには、自分達にとって不快な表現であっても、それを多様性維持の為のコストとして受け入れることが必要。権力側からの「規制」が生まれてしまうというのは社会の自己治癒力が働かなくなった結果であり、それは思想の自由市場の敗北だ。安易な「規制」は、いつか自分たちの首を絞めることになる。
2020/06/07
Narr
あいちトリエンナーレ2019での「表現の不自由展・その後」や「宇崎ちゃん」ポスターを巡る問題をあくまで表現の自由から考察するといった内容。一般書。結論としては「思想の自由市場」を守るためにも不快な表現には批判で向き合っていこう、安易な規制も行政による中立的でない表現との関わり方もご法度だ、という所でしょうか。その関わり方は表現の自由の壊れやすさを鑑みれば最もです。ただ、あいトレに関しては筆者の主張する旨に全面的に賛同しますが、「宇崎ちゃん」ポスターに関しては(筆者の語り方に)少々思うところがありました。
2021/03/22
たろーたん
あいちトリエンナーレの表現の不自由展に関して、「税金を使うものには表現の自由はないのか」ってのが一番印象深かった。確かに、学問の自由だって大学は税金を使ってるけど、「政府批判をするようなものはナシ」なんてならないし、あんなものは芸術じゃないと言うのならデュシャン『泉』なんかもっと芸術じゃないし。自分の中のモヤモヤが少し晴れた気がした。(続)
2023/06/15
ニコ
社会の自己治癒力を育てる、と言う考え方が良かった。人それぞれのポリコレ棒を持つ、というのは、なかなか難しいのを実感している。きちんと内側に持っておきたいとは思うけど…
2020/06/07
鳥山仁@『純粋娯楽創作理論 第二章』発売
共産党に近しい人物が、表現規制に対してどのような見解を持っているかを知りたくて購入した。本書は「愛知トリエンナーレ」編と「宇崎ちゃんと日本赤十字社コラボ」編の2つに分かれているが、予想通り前者の論評はマトモなのに後者は支離滅裂でぐったりする(結論としては後者の表現規制にも反対なのだが)。性表現を悪だとする根拠は一神教的な価値観であり、性的消費やモノ化などは、その言い換えに過ぎない。クリスチャンがキリスト教的な性倫理を主張するのは理解できるのだが、コミュニストがそれに阿諛追従する理由は解らずイライラする。
2020/04/18
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