感染症の時代と夏目漱石の文学
感染症の時代と夏目漱石の文学 / 感想・レビュー
このみ
「感染症の国内での流行と、日清戦争(1894〜1895)と日露戦争(1904〜1905)という、海外での戦争遂行と兵士の感染、その帰還による感染の日本国内での広がりを、正確に自らの小説の中でとらえていた」。「吾輩は猫である」の苦沙弥先生と「道草」の健三の頬の痘痕(アバタ)。「三四郎」に登場する青山病院。「それから」で三千代の母と兄を腸チフスで失うこと。「門」での腸チフスとインフルエンザ。漱石の右頬に残る痘痕。「感染症としての天然痘の痕跡を、『文明開化』の歴史の中で意識し続ける」眼差し。興味深く読んだ。
2023/05/12
正親町三条ペペ
このごろ世界に流行るもの、夜討、強盗、オミクロン。 と落書きに書かれそうな帝国主義、反知性主義、希望格差にうちひしがられる人々の絶望・虚無・憎悪、そこに漬け込むエセ救国思想に、感染症。漱石の観ていた世界と今の景色とに、どこが違いがあろうか。確実な違いはいまの景色に漱石がいないことである。
2022/07/19
396ay
総合図書館。精神の病についての記載は特にないが、勉強になったので以下めも
2022/03/19
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