シダの群れ: 純情巡礼編
シダの群れ: 純情巡礼編 / 感想・レビュー
allite510@Lamb & Wool
え?これが岩松了の本?というぐらい、普通に格好良い。アテ書きの名手なので、キャストのイメージに沿って読むと、堤真一も風間杜夫も荒川良々も松雪泰子もそれぞれ皆が観たい姿を見せてくれるような戯曲である。舞台見なくても役者の魅力に痺れるくらいといってもいい。クライマックスも普通にきちんと盛り上がる。へええ、と思っていると、あとがきに「いわば復讐の気持ちを持って”見られる"だけのものではないものを”見せる”のも演劇の務め」という岩松さんの言葉。うん、良かった。岩松さんはまだ怒っている。
2017/11/23
やまねっと
僕はヤクザものに対してはっきりとした嫌悪感を持っている。でも、ヤクザの抗争だとかには少なくともちょっとした興奮をおぼえる。このシダの群れも様々な人間ドラマの末、倒れていくものがいる。そんな興奮を面白さに昇華してこの本は読めた。戯曲は自由な読み方ができる。完成品とした舞台がちゃんとあるけど、見ていない舞台は自分で読んだ時色んな想像ができるから、頼まれてもいないのに頭の中で舞台化する。想像できる戯曲は読んでいて楽しい。岩松了の戯曲はいい意味で色がない。そういうことが色なのだ。
2018/05/13
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