十階: 短歌日記2007
十階: 短歌日記2007 / 感想・レビュー
コットン
2007年、一年間の短歌と短文を綴っている。東さんの自然や生活から繰り出されるハッとする歌がすきです。ex:「やわらかいものに匙を入れるとき、え、と小さくそれがささやく」「しゃっくりの止まらね身体もてあましたましい空のアンテナに干す」上手いな~ぁ!
2018/09/19
パフちゃん@かのん変更
東さんの歌はいろんな本で読んだことがあるけれど、東さんの歌集は初読み。2007年の1年間、1日も欠かさず、その日のエピソードでその日のうちに短文を書き、短歌を作っている。31文字の表す世界が深くて広い。不思議な世界。この感性がやはり詩人というか、まさしく歌人なんだろうな。私には理解できないものも多数あり。でも素敵です。ちなみに8月10日、今日の短文は「空の広い場所に来て、ふいにすべてが漂白されてしまう気がする」で短歌が「浮いてくる魚にうすい膜そえる どんな気持ちと訊かれる気持ち」・・・金魚すくい?
2016/08/10
kaizen@名古屋de朝活読書会
#東直子 #短歌 #現代女性歌人展 海からの風にゆがんだスマイルが回転しつつつきぬけてゆく 紅い甘いすっぱい湯よりわきあがる一つをだきあげてふゆぞら くちうつしで甘い水をわけあえばたらりたらりと明日になれる こんなにもひとはうつろになれるのか光は水とガラスつらぬく 橋を越えれば待っている者のこと水滴とばすあなたは誰だ それはひどい春風でしたみんなみんな水中バレエの踊り手だった
2016/07/21
yumiha
時には絞り出すようにして一日一首を365日書いた東直子の短歌日記。笑ったのは、9月1日の蝉の声。「ショボショボ…」って鳴く蝉は、ヒグラシかなぁ?これからヒグラシの声を聞くたび吹き出してしまいそう。「誰がなに言ったとしても春風のざっくばらんな私を生きる」って、そうありたいものです。「やあ君は五月の鳥だいくらでも迷ってもいい五月の鳥だ」と言ってもらえると、方向音痴の私、安心しますわ。「千年ののちに生きている杉へ言葉をひとつあずかってください」の言葉は何だろう。私なら預けたい言葉って何だろう?何も預けないかも。
2021/08/20
だいだい(橙)
2007年の短歌日記を2010年に出版したもの。でも内容はぜんぜん古くなくて、10年以上経ったいまでもキラキラしている。東さんの短歌は日常を切りとったもの。私生活の具体的な色々は透けて見えるものの、知りたくないことをゴリゴリ押し付けられる感じはなく、すんなりと心に入ってくる。一つの短歌の中に二つ以上の「何か」が入っていることもある。その二つを見つけに行く楽しみがある。表紙の麒麟のイラストは元旦の歌「ないよりも泣く方がいい何度でも麒麟のように焦がれていたい」から。麒麟は生涯立ったまま眠る。素敵な本です。
2021/06/27
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